2001 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体優性遺伝を呈する知的障害患者の病因遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
13670158
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
若松 延昭 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 部長 (60274198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 憲一郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 研究員 (30291173)
山田 裕一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 室長 (70191343)
|
Keywords | ZFHX1B / SIP1 / ヒルシュスプルング病 / 知的障害 / てんかん / 神経呈 / 脳発達障害 |
Research Abstract |
[緒言]現在、1000以上の知的障害が何かの遺伝子異常により発症すると指摘されているが、その約半数は未だ病因遺伝子が不明である。その理由の一つに、発達障害の中には、突然変異(優性遺伝)により発症し、重篤な症状を呈する症例が多く存在することが挙げられる。同疾患では、症例の症状が重篤なために、同じ遺伝子異常をもつ子孫が存在する可能性が少なく、従来の連鎖解析等の分子遺伝学的手法が病因遺伝子の同定に困難である。しかし、この様な合併症を呈する重篤な知的障害(症候性知的障害)の病因遺伝子は、まれに症例に出現する染色体の転座や微細な染色体欠失などの染色体の構造異常に注目すれば、同定が可能な場合がある。我々は、愛知県心身障害者コロニー中央病院で加療している2症例の症候性知的障害に染色体の転座を見出したので、転座部位の解析により各症例の病因遺伝子の同定を開始した。 [結果と考察] (1)1名のヒルシュスプルング病症候群(MIM 235730)の患者に染色体2q22と13q22との間で相互転座を認めた。2q22の転座部位の詳細な解析を行い、同部位に局在するZFHX1B(Smad-interacting protein 1:SIP1をコードする)遺伝子、以後ZFHX1B、が本症の病因遺伝子であることを初めて明らかにした。転座のある症例ではZFHX1Bは欠失しており、類似症状を呈する他の4名中3名の患者にもZFHX1B変異(ナンセンス変異とフレームシフト変異)が同定された。全ての変異はde novoで出現していた。SIP1は、脳の形成とヒルシュスプルング病、先天性心奇形等の神経堤の関与する器官の分化・発達に重要であることが明らかになった。 (2)出生直後より著明な精神運動発達障害を呈する1症例から、染色体6q16と12p12に相互転座を認めた。12p12の転座部位を多くのRP11-BACクローンを用いて解析し、最終的にRP11-712A21と841C19の間(〜0.6Mb)に転座が起きていることを決定した。現在、同部に局在する遺伝子を検索している。
|
-
[Publications] Yamada K, et al.: "Nonsense and Frameshift Mutations in ZFHX1B, Encoding Smad-Interacting Protein 1, Cause a Complex Developmental Disorder with Great Variety of Clinical Features"Am J Hum Genet. 69(6). 1178-1185 (2001)
-
[Publications] Yamada K, et al.: "Molecular analysis of Japanese patients with Rett syndrome : Identification of fire novel mutations and genotype-phenotypecarrelation"Hum Mutat. 18(3). 253-Online #443 (2001)
-
[Publications] Wakamatsu N, et al.: "Mutations in SIP1, encoding Smad interacting protein-1, cause a form of Hirschsprung disease"Nature Genet. 27(4). 369-270 (2001)
-
[Publications] 若松 延昭: "てんかんと神経堤障害を呈する知的障害患者の病因遺伝子の同定"日本神経精神薬理学雑誌. 21. 63-67 (2001)
-
[Publications] Yamada K, et al.: "A rare case of complete human eryhrocyte AMP deaminase deficiency due to two novel missorse mutations in AMPD3"Hum Mutat. 17(1). 78-Online #395 (2000)
-
[Publications] Yamada K, et al.: "Novel genetic mutations responsible for the HPRT deficiency and the clinical phenotypes in Japanese"Adv Exp Med Biol. 486. 29-33 (2000)