2001 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群におけるプラーク破綻メカニズムに関する分子病理学的研究:酸化ストレスと血管作動性物質の役割
Project/Area Number |
13670186
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上田 真喜子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10137193)
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Keywords | 急性冠症候群 / プラーク破裂 / 酸化ストレス / 酸化LDL |
Research Abstract |
急性心筋梗塞や不安定狭心症は、その病態の類似性から、最近、急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome)と総称されている。我が国では近年、食生活の欧米化や高齢化に関連して高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の罹患数が急激に増加してきており、また、これに伴って急性心筋梗塞、不安定狭心症、虚血性突然死などの急性冠症候群の患者数が増加しているため、病態の解明とそれに基づいた有効な薬物治療の開発が急務である。 最近我々は、代表的な血管収縮物質であるアンジオテシシンIIの重要な変換酵素であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)のヒト冠動脈硬化病変における発現について研究し、プラーク破綻部位では、ACEの発現が亢進していることをはじめて明らかにしている。一方、これまでの実験的研究から、酸化LDLは、単球の血管壁への流入、マクロファージの集積・泡沫化、内皮細胞傷害、Tリンパ球の活性化などを促進することが明らかにされているが、我々は最近、ヒト冠動脈プラークの進展過程におけるマクロファージの集積・泡沫化には、酸化LDLが関与する可能性をはじめて明らかにしている。これらの最新の研究成果は、血管収縮物質の作用亢進や、酸化LDLなどの酸化ストレスの増強が、ヒト冠動脈におけるプラーク炎症の進展、ひいてはプラーク破綻に関与する可能性を強く示唆している。 我々は、本研究において、まずプラーク破綻機序における酸化LDLや酸化LDLレセプターであるLOX-1の関与について解析し、ヒト冠動脈の不安定プラークでは酸化LDL陽性の泡沫化マクロファージが有意に増加していることを明らかにした(Circulation 103:1995-1960,2001)。さらに、酸化LDLの新しいレセプターであるLOX-1がヒト不安定プラークのマクロファージのみならず血小板にも発現することを明らかにした(Biochem Biophys Res Commun282:153-158,2001)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ehara S, Ueda M, Nanuko T, et al.: "Elevated Levels of Oxidized Low Density Lipoprotein Show a Positive Relationship With the Severity of Acute Coronary Syndromes"Circulation. 103(15). 1995-1960 (2001)
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[Publications] Kakutani M, Ueda M, Naruko T, et al.: "Accumulation of LOX-1 ligand in plasma and atherosclerotic lesions of Watanabe heritable hyperlipidemic rabbits : identification by a novel enzyme immunoassay"Biochem Biophys Res Commun. 282(1). 180-185 (2001)
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[Publications] Chen M, Kakutani M, Naruko T, Ueda M, et al.: "Activation-dependent surface expression of LOX-1 in human platelets"Biochem Biophys Res Commun. 282(1). 153-158 (2001)
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[Publications] 江原正一, 吉川純一, 上田真喜子: "Annual Review 循環器:高脂血症と冠動脈形態変化"中外医学社. 69-74 (2002)