2001 Fiscal Year Annual Research Report
CGH法による低悪性度B細胞性腫瘍の遺伝子発現プロファイリング
Project/Area Number |
13670188
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
茅野 秀一 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (40169652)
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Keywords | B細胞性リンパ腫 / 形質細胞腫 / MUM-1 / IRF-4 / BCL6 / CD10 / CD138 / FGFR3 |
Research Abstract |
本研究の主目的は低悪性度B細胞腫瘍のhigh-grade transformation(HT)機構をcomparative genomic hybridization(CGH)法による遺伝子発現プロファイリングにより検討する事である。平成13年度は検討対象の収集とCGH法の基礎となるfluorescent in situ hybridization(FISH)条件の検討を行った。 1.低悪性度Bリンパ腫のHT1例について詳細に検討した。HT前後で免疫形質に変化が見られ、HT後ではMUM1、CD138、およびFGFR3の発現が認められた。これらの分子はいずれも形質細胞腫で異常発現が認められることから、形質細胞への分化機構がHTに関連している事が示唆された。 2.形質細胞腫ではしばしば認められるFGFR3異常発現を末梢性T細胞性リンパ腫の1例を見いだした。そこでビマン性大細胞型Bリンパ腫を免疫組織化学的に検討し、FGFR3とCD138を同時に発現する形質細胞類似の形質を呈する症例を見いだした。CD138陰性例ではFGFR3は核内に陽性となった。チロシンキナーゼ活性を持つFGFR3がリン酸化された形で核内に移行している可能性が考えられ、検討中である。 3.HT頻度が高い瀘胞性リンパ腫においてMUM1、CD138の発現を免疫組織化学的に検討した。27例中11例がMUM1陽性で、そのうち7例は胚中心B細胞マーカーであるCD10またはBCL6の発現低下を伴っていた。全例でCD138陰性であった(第11回欧州血液病理学会で発表予定)。 4.瀘胞性リンパ腫のホルマリン固定パラフィン切片を用いて染色体転座t(14;18)のFISH検索を行ったところ良好なシグナル検出を確認できた。 5.本研究のような悪性腫瘍の遺伝子解析は遺伝子疾患の遺伝子診断に較べて倫理問題は生じにくいが、本研究では試料提供者の人権を保護するために「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に遵守し、病理診断を本来の目的とする生検時に研究趣旨の説明と同意を求める文書案を作成した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yagasaki F, et al.: "Fusion of ETV6 to fibroblast growth factor receptor 3 in peripheral T-cell lymphoma with at (4;12)(p16;p13)"Cancer Research. 61. 8371-8374 (2001)
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[Publications] Aoki T, et al.: "Anaplastic plasma cytoma with malignant pleural effusion lacking evidence of monoclonal gammopathy"Virchows Archiv. (in press). (2002)
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[Publications] 茅野秀一, 他: "低悪性度B細胞リンパ腫のhigh-grade transformationにおけるsomatic mutation解析"日本病理学会会誌. 90. 145 (2001)
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[Publications] 茅野秀一, 他: "膵尾に臨床上癌腫と鑑別が困難な腫瘤を形成した反応性リンパ過形成の1例"日本病理学会会誌. 90. 323 (2001)
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[Publications] Yoshida, k, et al.: "Successful treatment of multicentric Castleman's disease with intracranial and retroperitoneal tumors"Internal Medicine. 40・9. 976-977 (2001)
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[Publications] 茅野秀一, 他: "瀘胞性リンパ腫における胚中心B細胞マーカー発現パターン"日本病理学会会誌. 91. 164 (2002)