2001 Fiscal Year Annual Research Report
メラニン生成能を利用したメラノーマ特異的化学療法剤の開発
Project/Area Number |
13670229
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
井上 茂樹 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (30084601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雪竹 潤 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 講師 (20288468)
若松 一雅 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 助教授 (80131259)
伊藤 祥輔 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (70121431)
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Keywords | メラニン / 抗メラノーマ作用 / 4-S-システアミニルフェノール / 光学異性体 |
Research Abstract |
我々は、メラノーマに特異的な化学療法剤の開発研究を進めてきた。その結果、我々及び他の研究グループが検討してきた化合物のなかで、チラミンの硫黄同族体である4-S-システアミニルフェノール(4-S-CAP)が最も優れた抗メラノーマ作用を示すことを証明した。しかし、4-S-CAPは血圧降下作用を示すため、投与量が制限されるという問題点がある。 今回、我々は細胞毒性を有するが、血圧降下作用を持たない化合物を見出すために、4-S-CAPの同族体であるα-メチル-4-S-CAP(α-Me-4-S-CAP)及びα-エチル-4-S-CAP(α-Et-4-S-CAP)について、光学異性体(R体,S体)をそれぞれ合成し、培養メラノーマ細胞に対する増殖抑制効果及びB16メラノーマ担がんマウスにおける抗腫瘍効果について比較検討を行った。光学異性体は我々のグループが合成したものを用いた。細胞はB16細胞株でメラニン産生力が高いB16-F1細胞及びメラニン産生力の低いB16-G4F細胞を使用した。抗腫瘍効果の検討にはC57BLマウスを用いて実施した。 実験の結果、4種類の光学異性体はB16-G4F細胞よりも、B16-F1細胞に対して約20倍高い細胞毒性を示した。また、α-Me-4-S-CAPではR体の方が、α-Et-4-S-CAPについてはS体の方が細胞毒性は高かった。一方、B16担がんマウスにおける抗腫瘍効果については、α-Me-4-S-CAPではR体がS体よりも、またα-Et-4-S-CAPではS体の方がR体よりも高い結果を示し、対照群に比べて有意に増殖を抑制した(p<0.05)。 今回の結果は、今後血圧降下作用を検討する必要性を示唆しており、α-Me-4-S-CAP及びα-Et-4-S-CAPのR体、S体の血圧降下作用の実験計画を推進中である。
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