2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌に対するinterferon-αの抗腫瘍効果に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13670233
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
矢野 博久 久留米大学, 医学部, 講師 (40220206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580)
小笠原 幸子 久留米大学, 医学部, 助手 (40258405)
桃崎 征也 久留米大学, 医学部, 講師 (40279138)
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Keywords | インターフェロン-α / アポトーシス / カスペース(caspase) / cytochrome c / RT-PCR / 細胞株 / 肝癌 / Western blotting |
Research Abstract |
IFN-αにより誘導されるアポトーシスのメカニズムに関してアポトーシス関連分子の発現を蛋白及がmRNAレベルで検討した。アポトーシス関連のミトコンドリア蛋白の発現に関してはIFN-α誘導性アポトーシス感受性であるKIM-1株のみを使用した。ミトコンドリア内蛋白と細胞質内蛋白を別々に電気泳動しcytochrome c、Smac/Diablo、AIF、Bidの発現をWestern blotting法で検討した。その結果、cytochrome c及びSmac/Diabloに関しては、72時間目で明らかにミトコンドリア分画内の発現が低下する傾向を認めこれらの蛋白のミトコンドリアから細胞質内への放出が示唆された。cytochrome cに関しては細胞質内cytochrome c蛋白量が若干増加した。AIF、Bax、Bidに関しては著変は認められなかった。Procaspase 3,7,8と9の発現に関しては、IFN-α誘導性アポトーシス感受性であるKIM-1株とHAK-1B株の2株と同抵抗性のKYN-3とKMCH-2の2株を使用した。Procaspases 3,7,8と9の発現に関しては、KMCH-2株でのみprocaspase 8と9の発現が元来低かった。IFN-αを添加培養後72時間のそれぞれのcaspaseの活性を検討すると、caspase 3の活性化をKIM-1で明瞭に認め、caspase 8の活性化をKIM-1・HAK-1Bで,caspase 7の活性化を軽度にKIM-1で、caspase 9の活性化をKIM-1・HAK-1Bで認めた。また、PARPのproteolysisをKIM-1・HAK-1Bにのみ認めた。KYN-3とKMCH-2では、活性化は認めなかった。RT-PCRによるcaspaseのmRNAの発現に関する検討では、KIM-1とHAK-1B細胞株において、Apaf-1,caspase 3,8,及び9のbandがIFN-α非添加時と比べ、添加時で明らかに増強していた。一方、IFN-α誘導性アポトーシス抵抗性のKYN-3とKMCH-2ではKYN-3のcaspase 3のバンドがIFN-α添加時で増強していたが、KMCH-2では変化は認めなかった。Caspase 5の発現は肝癌細胞では認めなかった。その他のcaspases (caspase 2,4,6,10)の発現に関してはIFN-α添加時と非添加時でbandのintensityに差は認めなかった。この様にIFN-αによるアポトーシス誘導はミトコンドリア系のpathwayを介して種々のcaspaseが活性化され生じることや、SmacとCaspase 8の二つの分子がこのミトコンドリア系のアポトーシス誘導経路を更に促進する事も明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 矢野博久, 神代正道: "インターフェロンは培養肝癌細胞増殖を抑制する"医学と薬学. 47巻・supplement. 69-74 (2002)
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[Publications] 矢野博久, 神代正道: "IFNの代謝-抗腫瘍作用"肝胆膵. 45巻・6号. 1001-1006 (2002)