2001 Fiscal Year Annual Research Report
シアル酸の付加を受けた粘液多糖類による腸管寄生虫排除の発現
Project/Area Number |
13670252
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
石渡 賢治 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00241307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 ふくみ 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90295204)
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Keywords | マウス / 腸管寄生線虫 / 排除 / 粘液多糖 / シアル酸 / 国際研究者交流 / アメリカ / 寄生虫感染 |
Research Abstract |
レクチンによる組織学的検索から特定のシアル酸結合様式をもった粘液多糖がマウスの腸管寄生線虫Nippostrongylus brasiliensis(Nb)排除に関与していることが示唆されたことから、この点について深く検討することにした。したがって当初の研究計画の一部は遂行を停止/延期した。 1.シアル化した粘液多糖の虫体への影響 マウスから排除される直前のNbをマウス、あるいはラットの腸管に移植しなおすと4〜5日はレシピエントの腸管に定着することから、シアル化した粘液多糖はNbに対して致命的な傷害を与えていないことが示唆された(石渡、中村;論文投稿中)。 2.シアル酸の結合様式特異性の検討 シアル酸(Sia)の結合様式に依存して結合するレクチンを用いて、Nb排除に関与する粘液多糖を組織学的に検討したところ、Siaα2,3-lactosamineを糖鎖末端にもつ杯細胞内粘液多糖の発現がIL-13誘導性のNb排除と一致して認められた(石渡)。 3.シアル酸転移酵素の発現の検討 シアル酸α2,3の位置に結合させるシアル酸転移酵素のうち、小腸に発現することが予想されるST3Gal IIIおよびIVのmRNA転写についてIL-13の作用を検討した。その結果、生理的な状態ではほとんど見られないST3Gal IVの転写がIL-13投与によって増強されることが明かとなった。ST3Gal IIIの転写も生理的な状態でほとんど見られず、IL-13投与で変化が見られなかった。さらに、Nbを排除できないscidマウスにIL-13を投与して排除できるようにしたグループでST3Gal IVの転写増強が認められた(石渡が渡米しDr.Urbanとともに行う;論文投稿中)。 以上の結果は、IL-13誘導性にST3Gal IVが発現し、この酵素によって合成されたSiaα2,3-lactosamineを糖鎖末端にもつ粘液多糖がNbの排除に関与していることを示唆している。これらの成果は消化管寄生線虫の排除に関与する因子およびその過程を初めて明らかにするとともに、IL-13の新たな作用(糖化)を見い出した点で画期的である。
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