2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌O157Sakaiの初期感染に関与する新規付着因子の解析
Project/Area Number |
13670263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立野 一郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50311642)
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Keywords | O157:H7 / 付着 / LEE |
Research Abstract |
腸上皮細胞への付着は、腸管出血性大腸菌(EHEC)による感染の初期段階において必須である。これまでの培養細胞を用いた感染実験の結果から、EHECは最初に単独で上皮細胞に付着した後、そこで増殖することによって集落(マイクロコロニー)の形成に至ることが明らかになっている。この最初の付着はTypeIII分泌機構及び分泌蛋白質EspA, EspB, EspDのいずれか及びすべて、さらに未知の付着因子によって司られていることが遺伝的解析などから示唆されている。そこで本研究では、初期付着に必要な因子を同定するため人大腸上皮由来Caco-2細胞への付着能の上昇を示すトランスポゾン挿入変異株を8個単離した。得られた変異株のトランスポゾン挿入領域の塩基配列を決定した。その結果、LPS合成に関係する領域内に挿入変異を持つものが1株、未知の転写制御因子をコードすると考えられるORF内に1株(yhiF)、その転写制御因子と相同性を示すORF内に6株(yhiE)がえられた。これらの付着変異株のLPSを抗O157LPS抗体を使って調べたところ、LPS合成に関係する領域内に挿入変異を持つ株のみLPSが消失していた。一方、残りの2種類の変異株はTypeIII分泌機構に依存する分泌タンパク量の増加が見られたので、それらをコードする遺伝子の転写産物量を調べた。その結果、TypeIII分泌機構および分泌タンパク質をコードする遺伝子の転写産物量の増加が見られた。しかし、これらの遺伝子に対する正の転写制御因子Ler(LEE encoding regulator)は変化が見られなかった。以上の結果から、yhiEとyhiFがTypeIII分泌機構および分泌タンパク質の発現を介してO157の初期付着に関する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)