2002 Fiscal Year Annual Research Report
近年流行している腸炎ビブリオに特異的に存在する線維状ファージについての研究
Project/Area Number |
13670271
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (90221746)
|
Keywords | 腸炎ビブリオ / 流行 / 線維状ファージ |
Research Abstract |
腸炎ビブリオは長年日本における食中毒原因のトップを占めている。この腸炎ビブリオ感染症に近年異変が起きている。従来、南アジアや北米では腸炎ビブリオ感染症はそれほど多くなかったが、この数年患者数や集団発生数が激増している。また、東南アジアや日本などもともと腸炎ビブリオ感染症が多かった地域でもその数が数倍にも上昇している。しかもそのほとんどがO3:K6という単一の血清型菌によるものである。このような単一血清型の腸炎ビブリオの世界的な流行というのはこれまでになかった。われわれはこの腸炎ビブリオO3:K6と従来め腸炎ビブリオとの違いを解析した結果、O3:K6血清型腸炎ビブリオ菌株に特異的に存在している線維状ファージf237を見いだした。その後1998年以降、O3:K6に加えO4:K68やO1:KUTといった血清型の腸炎ビブリオの分離が急増している。本研究ではわれわれが見いだしたファージf237に関して以下の点について明らかにした。 1.ファージf237の分布について、より最近の臨床分離腸炎ビブリオ菌株を用いて解析を行った。その結果、f237はO3:K6血清型菌のみならず、最近流行をみせているO4:K68やO1:KUTなどの血清型株においても存在していることを明らかにした。この成績はf237が新型腸炎ビブリオの流行性になんらかの関与をしている可能性を示唆する。 2.ファージf237が細菌染色体上にintegrationしていることを明らかにし、さらにそのintegration siteを同定した。 3.過去に分離された非流行型の腸炎ビブリオ2株からf237に類縁のフアージを2種類分離し、その全ゲノム配列を決定することによりf237との構造の異同を明らかにした。 4.流行型腸炎ビブリオに特異的にみられる遺伝子型を見出した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Tagomori et al.: "Comparison of genome structures of vibrios, bacteria possessing two chromosomes"J.Bacteriol. 184・16. 4351-4358 (2002)
-
[Publications] Iida et al.: "Filamentous bacteriophages of vibrios are integrated into the dif-like site of the host chromosome"J.Bacteriol. 184・17. 4933-4935 (2002)
-
[Publications] Makino et al.: "Genome sequence of Vibrio parahaemolyticus : a pathogenic mechanism distinct from that of V. cholerae"Lancet. 361. 743-749 (2003)
-
[Publications] 飯田 哲也(共著): "感染症研究のいま"大阪大学出版会. 90 (2001)