2001 Fiscal Year Annual Research Report
下痢原性大腸菌感染症の予防に役立つ粘膜ワクチンの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13670279
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安田 陽子 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (70080009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 紀久 国立感染症研究所, 安全性研究部, 室長 (10100108)
谷口 暢 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00285199)
杤久保 邦夫 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30079991)
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Keywords | 粘膜ワクチン / 径鼻投与 / コレラ毒素Bサブユニット / 下痢原性大腸菌 / 線毛 |
Research Abstract |
感染症の予防は治療に勝る。新興・再興感染症を含め多くの感染症では広い粘膜面が病原体の侵入門戸となっており、粘膜系での効果的な感染防御が重要である。われわれは、新しいワクチンとして「粘膜ワクチン」の開発を目指し、安全性の高い粘膜アジュバント「組換えコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)」を独自に作製した。これまでに現行ワクチンを抗原として用い、rCTBと共に点鼻することで、粘膜上および全身性の免疫応答が誘導され、ワクチンとしての有効性を証明してきた。 本研究では、rCTBアジュバントをさらに種々の感染防御抗原に応用する一環として、下痢原性大腸菌感染症の予防を目的として、まず、線毛を抗原とした場合の全身および粘膜免疫応答の誘導を調べ、次の結果を得た。BALB/cマウスに毒素原性大腸菌(ETEC)の線毛性定着因子(CFA/III)を経鼻投与すると、rCTBの有無にかかわらず全身性免疫応答(血清IgG、IgA)が誘導された。血清IgGサブクラスは、IgG1、IgG2a、IgG2b抗体価がほぼ同程度上昇し、Th1、Th2の両応答が示唆された。粘膜免疫応答(分泌型IgA)は、唾液、鼻腔、肺、膣、小腸、糞便で認められ、rCTBの有無にかかわらず、特に肺と膣で高い抗体価が得られた。ETEC菌体凝集反応は、すべての血清と高い抗体価を示した一部の小腸洗浄液で認められた。今回の実験ではrCTBアジュバント非存在下でも全身と粘膜免疫応答が誘導されたことから、CFA/IIIは鼻粘膜上皮より取り込まれやすい性質があると考えられる。CFA/IIIの経鼻投与により腸管においてIgA応答がみられたことは、腸管感染症の予防に経口投与でなくても「経鼻投与」により線毛ワクチンを利用できる可能性を示唆している。なお、rCTB添加ワクチンの場合は、得られる抗CTB抗体がETEC易熱性腸管毒(LT)と交差反応することから毒素に対する防御効果が加わることになる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Isaka, M. et al.: "Mucosal immunization against hepatitis B virus by intranasal co-administration of recombinant nepatitis B surface antigen and recombinant cholera toxin B subunit as an adjuvant"Vaccine. 19(11/12). 1460-1466 (2001)
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[Publications] Taniguchi, T. et al.: "Gene cluster for assembly of pilus calonization factor antigen III of enterotoxigenic Escherichia coli"Infection and Immunity. 69(9). 5864-5873 (2001)
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[Publications] Maeyama, J. et al.: "Cytokin responses to recombinant cholera toxin B subunit produced by Bacillus brevis sa a mucosal adjuvant"Microbiology and Immunology. 45(2). 111-117 (2001)