2002 Fiscal Year Annual Research Report
細菌リポ多糖によるマクロファージ活性化及び機能発現に関わるシグナル伝達分子の解明
Project/Area Number |
13670281
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
斎藤 慎二 自治医科大学, 医学部, 助手 (50195989)
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Keywords | マクロファージ / 細菌リポ多糖 / IL-12 / MAPK / ERK |
Research Abstract |
前年度までの研究で、マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞より細菌リポ多糖(LPS)刺激応答性の異なるサブクローンの分離を行った。特に注目すべき点は、IL-12p40サブユニット低産生性であるRAW264.7細胞よりIL-12p40サブユニット高産生クローンが単離されたことである。これらのクローンを用いLPS刺激応答における活性発現を詳細に検討した結果、IL-12p40の発現制御にはIL-1β、IL-6、iNOSとは別の特有のシグナル伝達系の存在が明らかになった。RAW264.7細胞とIL-12p40高産生性であるJ774.1細胞間でLPS刺激応答過程のシグナル伝達系を比較検討したところ、LPS刺激J774.1細胞ではRAW264.7細胞に比してMAPKファミリー、ERK1,2の活性が著しく低かった。さらに、ERK1,2上流のMEK1,2に対する阻害剤添加によりRAW264.7細胞のLPS誘導IL-12p40発現が著しく上昇することを認め、RAW264.7細胞のIL-12p40低産生性はIL-12p40遺伝子欠損等によるものではなくERKの過剰活性化に起因すること、即ち、MEK1,2→ERK1,2系の活性化はLPS誘導IL-12p40産生に対し抑制的制御に働くことが明らかになった。一方、RAW264.7細胞より樹立されたIL-12p40高産生クローンでは、親株細胞と同程度のERK1,2の活性化が見られることより、このクローンのIL-12p40産生回復にはMEK-ERK系による抑制の解放ではなく、ERK系による抑制制御を無効とするような新たなIL-12p40産生冗進的制御機構の存在が示された。
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