2001 Fiscal Year Annual Research Report
ボルナ病ウイルスのリン酸化タンパク質の発現制御と中枢神経障害性の解明
Project/Area Number |
13670297
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝長 啓造 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10301920)
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Keywords | ボルナ菌ウイルス / 中枢神経系 / 持続感染 / 転写 |
Research Abstract |
ボルナ病ウイルス(BDV)の中枢神経障害性を明らかにする目的で、BDVの主要ウイルス抗原である24-kDaのリン酸化タンパク質(p24)の発現制御に関する研究を行っている。BDV p24は核内におけるウイルスの転写・複製のためのコファクターであると考えられており、BDV感染細胞もしくは感染動物脳で著しく高い発現が観察される。これまでの研究により、私たちは、p24タンパク質が神経細胞内で神経突起伸長因子であるアンフォテリンと特異的に結合して、その機能を阻害していることを明らかにしている。また、BDV感染脳内におけるp24の発現もしくは蓄積が、神経細胞の脆弱化を引き起こし、BDV感染に特有な中枢神経系病態を誘発しているとの考察を得ている。そこで、p24タンパク質の感染脳内での発現動態を詳細に把握し、それを制御している機構を明らかにすることがBDVの神経病原性を解明する上で極めて重要であると考えられる。現在までに、p24の神経細胞内での発現は、(1)0.8-kbのbicistronic mRNAとしてBDVのp10タンパク質とともに発現されていること、(2)p24タンパク質の発現には、mRNAのleaky scanningメカニズムが働いていること、(3)p24タンパク質をコードしているopen reading frameよりtruncateされたp24タンパク質である16-kDaのp16が同時に発現されていることを突き止めた。さらに、p24タンパク質の発現ならびに細胞内での局在(核内もしくは細胞質内)の決定には、BDVヌクレオプロテイン(p40/p38)とp10タンパク質の細胞内での存在比が重要であり、p24はこれらのタンパク質と相互作用することによりその機能を発揮していることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Tomonaga, et al.: "Borna disease virus nucleoprotein requires both nuclear localization and export activities for viral nucleocytoplasmic shuttling"J. Virol. 75. 3404-3412 (2001)
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[Publications] K.Tomonaga, et al.: "Neurological diseases and viral dynamics in the brains of neonatally Borna disease virus-infected gerbils"Virology. 282. 65-76 (2001)
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[Publications] K.Tomonaga, et al.: "Borna disease virus phosphoprotein binds a neurite outgrowth factor, amphoterin/HMG-1"J. Virol.. 75. 8742-8751 (2001)
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[Publications] K.Tomonaga, et al.: "Varied persistent life cycles of Borna disease virus in a human oligodendroglioma cell line"J. Virol.. (in press). (2002)
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[Publications] K.Tomonaga, et al.: "Borna disease virus : Role in neurobehavioral disease"ASM Press (in press). (2002)