2004 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの翻訳抑制機構と持続感染機構の解明
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13670309
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
下池 貴志 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (90332361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 哲朗 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (00250184)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / コア蛋白質 / IRES / 翻訳調節 / 蛋白質-RNA相互作用 |
Research Abstract |
これまでの研究により、HCVコア蛋白質のN末端から24-57アミノ酸残基(a.a.)領域がHCV IRESによる翻訳の抑制に重要であることを示した。本年度はこの翻訳抑制に重要なコア蛋白質の領域を更に詳しく調べ、コア蛋白質の44-57a.a.が重要であることを示唆する結果を得た。また、コア蛋白質をコードするRNAではなく、コア蛋白質がこの翻訳抑制に重要であることを示した。 コア蛋白質のN末端、及びC末端欠失変異体をほ乳類細胞で発現させるため、CAGプロモータ下にこれら変異蛋白質をコードするDNAを組み込んだプラスミドを作製した。また、24-57a.a.領域内には正に荷電したアミノ酸残基が連続したクラスターが存在し、この領域と負に荷電したRNAとの相互作用が予想されるので、このクラスターを欠失させた変異体(Core-d2)を発現するプラスミドも作製した。これらのプラスミドをそれぞれHepG2細胞にトランスフェクションし、これら変異コア蛋白質を発現させ、更にHCV 5'UTRにluciferase遺伝子が融合したレポータRNAをトランスフェクションし、各コア蛋白質による、HCV 5'UTRによる翻訳効率の変化を調べた。 その結果、N末端からそれぞれ38a.a.、44a.a.欠失した変異コア蛋白質は依然HCV 5'UTRによる翻訳を抑制した。また、Core-d2蛋白質もHCV 5'UTRによる翻訳を抑制した。これまでの結果と合わせると、44-57a.a.の領域がHCV 5'UTRによる翻訳の抑制に重要であることが示唆される。一方、細胞内でコア蛋白質の発現に用いるプラスミドからコア蛋白質をコードするRNAも発現するが、このRNAがHCV 5'UTRと相互作用し、その翻訳を抑制する可能性が考えられる。コア蛋白質コードするDNAに点変異によりストップコドンを導入し、コア蛋白質をコードするRNAは発現するが、N末端5a.a.のコア蛋白質を発現するプラスミドを作製した。細胞にこのプラスミドを導入したがHCV 5'UTRによる翻訳には変化は無かった。従って、コア蛋白質をコードするRNAではなく、コア蛋白質がHCV 5'UTRよる翻訳を抑制するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)