2001 Fiscal Year Annual Research Report
SHP-1とアダプター分子によるB細胞抗原受容体シグナルの制御機構
Project/Area Number |
13670330
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
水野 一也 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00219643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻本 真美 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (80158609)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / アダプター分子 / シグナル伝達 / SHP-1 / BLNK / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
今年度は、BLNKとJNK活性化を結ぶ経路の同定、JNK活性化とアポトーシス制御の関連性について解析を進め以下の結果を得た。 (1)BLNKのリン酸化状態の変化とJNKの活性化とを結びつける候補分子として想定される、TRAF2、Vav、Nck、HPK1について野生型および変異型のcDNA発現ベクターを作成した。Nckの変異型として、リン酸化チロシンとの結合に必須であるSH2領域内のArgをLysに置換したもの(Nck-RK)、SH2領域を欠失させたもの(NckΔSH2)を作成した。 (2)酵素活性を欠失させたSHP-1(SHP-1-C/S)を発現させたWEHI-231ではBCR刺激後に認められるBLNKのチロシンリン酸化、JNKの活性化ともに対照群と比較して亢進している。そこで、BCR刺激後BLNKと会合する候補分子の量をSHP-1-C/S発現細胞と野生型SHP-1発現細胞間で比較検討したところ、NckのみがSHP-1-C/S発現細胞でBLNKとより多く結合していた。2種類の変異型NckとBLNKとの結合は認められず、この結合はNckのSH2領域を介していることが判明した。さらにSHP-1-C/S発現WEHI-231に変異型Nckを共発現させると、BCR刺激後に認められるJNK活性化の亢進が抑制されていた。 (3)SHP-1-C/S発現WEHI-231ではBCR刺激に誘導されるアポトーシスの程度が減弱している。この抑制効果はドミナントネガティブ型MKK4、変異型Nckを共発現させることにより解除されたことから、JNKの活性化とアポトーシス誘導とが逆相関することが示唆された。 以上の結果は、SHP-1がBLNKを脱リン酸化することによりBLNKと結合するNckの量を減らし、JNK活性化をネガティブに、その結果アポトーシスの過程をポジティブに制御していることを示している。
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Research Products
(1 results)