2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670335
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
高野 康夫 高知医科大学, 医学部, 講師 (70117034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 尚弘 高知医科大学, 医学部, 助手 (80127943)
由利 和也 高知医科大学, 医学部, 教授 (10220534)
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Keywords | 浮遊粒子状物質 / 呼吸器障害 / 肺胞H型細胞 / 初代培養 / 重金属 / 活性酸素 |
Research Abstract |
大気中の浮遊粒子状物質の詳細な構成成分については現在まだ不明な点が多くよく理解されていないが、この大気中の浮遊粒子状物質は煤煙中の煤塵やディーゼル自動車排ガスの黒煙などが原因成分と考えられていることより、ミニボルサンプラーを用いてインパクトカスケード法による大気中の浮遊粒子状物質の捕集を高知市の最も交通量の多い交差点で、1日午前7時から午後7時迄の12時間行った。大気中の浮遊粒子状物質は特に肺胞に到達し得るサイズを得るため、粒子径により1μm以下(PM1)、1から2μm(PM2)、2μm以上(PM10)の3段階に分級してフィルター上に捕集した。1ヶ月間の平均各分画捕集量はPM1が2.1±0.3mg、PM2は0.5±0.1mg、PM10は1.6±0.3mgであった。捕集量が微量であるため構成重金属成分の分析結果は現在のところ得られていない。各フィルター上に捕集された大気中の浮遊粒子状物質の形態ならびにそのサイズを走査電子顕微鏡で観察すると、PM1はモザイク状のほぼ球状粒子で、大きさは1μm前後あるいはそれ以下で、ほとんどは集塊を形成せず、単独に存在していた。一方、PM10の大きさは不規則で種々様々であり、面の形状も滑面や粗面を有するものが混在し、これらが結合して大きな集塊を形成していることが形態学的に判明した。大気中の浮遊粒子状物質の肺障害を検討するため、肺胞II型細胞の初代培養系を用いて、細胞にこの浮遊粒子状物質の暴露を行った。培養メディウム中のLDH活性により細胞障害性(%)を測定すると、対象:30.1±4.3、PM1暴露:48.9±2.4、PM2暴露:78.9±7.6、PM10暴露:105.2±4.0であった。以上のことより、大気中の浮遊粒子状物質は肺胞上皮細胞に障害を及ぼし、またその粒子径が大きなサイズ程、障害作用が大きいことが判明した。
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