Research Abstract |
高齢者の社会参加度と生活満足度を規定する要因の構造を明らかにし,コミュニティレベルにおける社会的支援と介入プログラムのあり方について検討することを目的とし,今年度は,介入群(2地区)と対照群(2地区)の全員を対象として,生活体力の測定と質間紙調査を実施した。介入群2地区,コントロール群2地区の全員を対象として「わくわく教室」と名付けられた介入プログラム(タオル体操や,ストレッチなど)が実施され,終了後再度,生活体力の測定と質問紙調査が行われた。なお,5回の「わくわく教室」への参加率は,K地区で17.1-23.1%,H地区は18.1-30.9%であった。初年度と今年度,両方の年度において生活体力の測定結果が得られた者について,測定結果の変化量に基づいて,A(体力向上),B(体力維持),C(体力低下)の3つのグループに分類し,介入プログラムの効果について検討した。介入群において,生活体力の維持あるいは向上が認められた者の割合は,総合点では78.5%,種目別では,起居78.6%,歩行76.4%、手腕69.4%、身辺77.5%であった。ただし、コントロール群として設定された2地区においてもほぼ同様の結果が得られた。介入群においては,「健康のため,体を動かすよう心がけている」とする者の割合は,1年間で顕著に増加し,体力測定実施後の事後説明会において指導を行った「タオル体操」や「ストレッチ体操」などの実施状況は,対照群に較べ介入群でやや高い傾向がみられたものの,生活体力の測定結果については両群間で有意な差が認められなかった。介入プログラムの効果が認められなかったことの理由としては,介入プログラムへの参加率が低かったこと,介入プログラムの内容の不十分さ,プログラム終了後における運動習慣の持続の困難性,効果発現までの時間的問題などを挙げることができる。介入プログラムの内容と共に評価モデルの見直しが必要であると考えられる。
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