2001 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー喘息の発症における肺粘膜免疫系の役割に関する研究
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13670339
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
胥 宝会 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00264408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 公治 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70117472)
竹内 亨 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00188161)
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Keywords | アレルギー喘息 / 肺粘膜免疫 / ケモカイン / 二次リンパ組織ケモカイン / マウス / アレルゲン |
Research Abstract |
平成13年度では、BALTにおけるSLC発現の同定、BALTの組織形成におけるSLCの機能解析、アレルギー喘息の発症におけるSLCの役割について検討し、以下の成果が得られた。 1.ケモカインSLCの発現に関して、BALTを含む種々の二次リンパ組織(末梢リンパ節、パイエル板と腸粘膜リンパ節)を比較検討した。その結果、末梢リンパ節等の他の二次リンパ組織と同様に、SLCがBALTのHEVのみならず、stromal cellsにも発現することが認められた。 2.BALTの組織形成特にリンパ球ホーミングにおけるSLCの役割に関して、短時間リンパ球ホーミング試験を用いて、検討を行った。まず、ケモカインシグナル阻害剤であるPTXで処理したリンパ球では、未処理リンパ球に比べ、BALTへのホーミングが殆ど阻害されたことが分かった。この結果はBALTへのリンパ球ホーミングがケモカインに依存することを明らかにした。つぎに、リンパ球を過量のSLCで処理しCCR7レセプターを飽和したリンパ球では、BALTへのホーミングが未処理のリンパ球に比べ有意に低下したことが認められた。さらに、ケモカインSLC欠損マウスでは、BALTへのリンパ球ホーミングは正常マウスに比べ有意に低下したことが分かった。これらの結果はケモカインSLCがBALTへのリンパ球ホーミングに必須であることを明らかにした。 3.アレルギー喘息におけるSLCの機能を解明するため、喘息の発症をSLC欠損マウスと正常のマウス間で比較検討した。SLC欠損マウスでは、肺における炎症細胞浸潤が正常マウスに比べ増悪したことがわかた。また、欠損マウスの肺気管支洗浄液に炎症細胞数特にリンパ球と好酸球が正常マウスより有意に多かった。また、洗浄液中のT細胞のサブセットに関しては、両群間ではCD8細胞数に差がなかったが、欠損マウスではCD4細胞数が有意に増加した。さらに、CD4細胞における炎症細胞ホーミング関連接着分子の発現をFACSで解析したところ、SLC欠損喘息マウスの洗浄液では、L-selectin陰性、alpha4integrin陽性、beta7integrin陽性とalpha4beta7integrin陽性の割合が正常マウスの喘息肺洗浄液より高かったことが認められた。これらの結果はSLCがアレルギー喘息の発症にマイナス的に制御することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 胥 宝会他: "BALTへのリンパ球ホーミングにおけるSLCの役割"日本衛生学雑誌. 56・増刊. 231-231 (2001)
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[Publications] 胥 宝会他: "アレルギー喘息の発症におけるNF-kappaB inducing kinaseの役割"産業衛生学雑誌. 44・増刊(印刷中). (2002)
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[Publications] Mikulowska-Mennis A, Xu BH, Berberian JM, Michie SA: "Lymphocyte migration to inflamed lacrimal glands is mediated by VCAM-1/alpha4beta1 integrin, PNAd/L-selectin, and LFA-1"American Journal of Pathology. 159・2. 671-681 (2001)