Research Abstract |
性,年齢,可動性(大島分類準拠)骨量,抗てんかん薬・ビタミンD3・カルシウムなどの服用と骨折の関連性を検討した.骨量はCXD法を用いて,性・年齢階級別の同年代骨密度平均値との比率(%)を求めた.平成14年度はアクチウォッチによる体動量を,18名の入所者から得たが,平成13年度の16名とあわせて34名の体動量データを得た.その他の情報は80名(男性40,女性40)から得た.対象者の平均年齢は男性30.7±12.6年,女性35.7±14.6年である. 主な結果:(1)服薬率については,バルプロ酸ナトリウム48%,フェニトイン30%,カルバマゼピン40%,フェノバルビタール26%,クロナゼパム19%,カルシウム剤26%,ビタミンD_318%であった.(2)骨折は性や抗てんかん薬使用状況による統計学的有意差を認めなかった.(3)骨折既往の有無で,平均年齢に統計学的有意差はみられなかった.(4)行動レベル別の骨折では,「寝たきり」および「歩ける」の割合が高い傾向であったが,統計的有意差はなかった(骨折率は,寝たきり20.5%,坐れる9.5%,歩行障害12.5%,歩ける25.0%).(5)行動レベル4群間でアクチウォッチによる体動時間に有意差を認めたが,その後の多重比較では有意差はなかった.しかし,移動性の向上にともない,体動時間も増加する傾向を認めた(寝たきり10.7時間,坐れる12.8時間,歩行障害14.2時間,歩ける15.4時間).(6)どのような要因が骨折に係わるのか,多重ロジスティック回帰分析で骨折の危険因子を検討した.今年度は,アクチウォッチ測定者が合計34名なので,体動量に関する情報は可動性に関する大島分類を用いた.統計学的に有意な変数として,(a)高齢(1歳増加すると1.1倍),(b)バルプロ酸の使用(16.2倍),(c)骨密度(1%増加で0.92倍).(b)に関しては,パルプロ酸と骨の脆弱性の関係に関する報告があるので(J Pediatrics 1995;127:256-62),それを支持する結果と思われる.さらに,(c)骨密度を上げることが骨折には有効であることがわかった.事例を重ねて結果を評価したい.
|