2001 Fiscal Year Annual Research Report
大規模長期縦断研究による児童の健康影響要因のリスク評価
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13670397
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
由良 晶子 近畿大学, 医学部, 助手 (80142595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 忠彦 近畿大学, 名誉教授 (00088519)
三宅 吉博 近畿大学, 医学部, 助手 (50330246)
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Keywords | 児童 / 自覚症状 / シックハウス症候群 / 室内空気汚染 / ホルムアルデヒド / VOC / 学校 |
Research Abstract |
大阪府においては、全ての公立小学校児童を対象とした自覚症状アンケート調査「大阪府こどもの健康調査」が、1971年以降2〜3年毎に計15回実施されてきた。当教室では、この調査の集計解析を担当し、その結果を蓄積している。今年度はまずはじめに、大阪府下44市町村の各教育委員会に対し、過去10年間の小学校新設・増改築状況および今後の新改築予定について郵送調査を行った。寄せられた情報から、上記健康調査の各調査年およびその前年に新改築された小学校とそれに隣接する対照校(非改築校)とを抽出し、横断的に各種自覚症状有症率を両群で比較した。しかし改築校の大半が部分的改修であったためか、両群に有意な差は見られなかった。今後は、改築校の工事内容を再検討し、改築の前後における時系列的な分析を試みる予定である。 一方、今年度の夏休み期間中に増改築が予定されていた4校において、改築後の室内空気汚染物質の測定と、内2校における児童の自覚症状調査を行った。ホルムアルデヒドの教室内濃度は、いずれの学校においても、改築直後(9月)から厚生労働省の室内濃度指針値以下で、改築しなかった対照教室に近いレベルであった。揮発性有機化合物(VOC)のトルエンとキシレンでは、簡易測定法による24時間の平均濃度で改築直後には指針値を上回る教室があったが、改築1ヶ月後(10月)には指針値以下に低下し、3ヶ月後(12月)にはさらに低下した。ただし、これらの物質の放散に影響する気温も同時に低下しているので、平成14年度の夏期(改築1年後)に追跡調査が必要である。児童の自覚症状は、教室の改築前と改築1ヶ月後とを比較すると、男子の「せきがよくでる」の訴えがA校(1・3年生)で2.1%から16.0%に、B校(5・6年生)で2.7%から11.0%と有意(P<0.05)に増加した。B校では他に、めまい、なみだ、目の痛み、のどの痛み、だるい等の訴えが、有意ではないが増加した。
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