2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670400
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
保利 一 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (70140902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嵐谷 奎一 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (10141748)
石松 維世 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (40289591)
石田尾 徹 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (90212901)
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Keywords | 有機溶剤蒸気 / 加熱再生 / 破過時間 / 防毒マスク / 吸収缶 |
Research Abstract |
有機ガス用防毒マスクに使用されている吸収缶は有機溶剤蒸気が破過すると交換する必要がある。これらの吸収缶に使用されている活性炭は、メタノールなどの極性の強い溶剤に対する吸着親和性が弱いので、これらの溶剤を使用する作業場で防毒マスクを使用する場合には、頻繁な吸収缶の交換が必要になることがある.活性炭に対する吸着親和性の弱い溶剤は加熱により吸着していた溶剤が容易に脱着すると考えられる。そこで、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、イソプロピルアルコール、酢酸メチルの5種類の溶剤について、加熱再生の可能性について検討した。空気恒温槽内で有機溶剤の入った容器に空気をバブリングすることにより発生させた溶剤蒸気を、湿度を調整した空気で希釈し、ホルダー内の有機ガス用防毒マスク吸収缶に通じた。吸収缶出口の蒸気濃度を経時的に測定することにより、破過曲線を求めた。蒸気をほぼ飽和吸着させた後、乾燥空気を通じながらホルダーを65℃に加熱することにより、吸収缶に吸着していた溶剤を脱着し、脱着曲線を求めた。ほぼ脱着が完了し、脱着溶剤が検出されなくなった後、常温まで冷却し、吸、脱着を繰り返した。その結果、多くの溶剤については、1回目と2回目で破過時間の短縮が見られるものの、2回目以降は短縮は認められず、吸収缶は加熱により再生が可能であることが示唆された。ただし、メタノールについては、高湿度では2回目以降はすぐに破過し、この条件では再生は困難であることが示された。2回目以降の破過時間の短縮の原因については加熱温度が低く溶剤が十分に脱着できなかったことや、活性炭が脱着空気中の酸素等と反応し、吸着活性点の数が減少したことなどが考えられる。この破過時間の短縮を小さくすることは今後の課題である。また、作業現場で使用される有機溶剤の大部分は混合溶剤であるので、混合溶剤に対する脱着特性についても検討する必要がある。
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