2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者を対象とした地域特性別のうつ病と自殺予防に関する研究
Project/Area Number |
13670406
|
Research Institution | Shimane Nursing College |
Principal Investigator |
福澤 陽一郎 島根県立看護短期大学, 看護学科, 教授 (40127527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吾郷 ゆかり 島根県立看護短期大学, 看護学科, 講師 (30280134)
|
Keywords | 高齢者 / うつ状態 / 地域特性 / 予防 |
Research Abstract |
高齢者を対象とした地域特性別のうつ病予防の検討のために、うつ状態の割合を1999年と同一方法で2002年にT村(漁村)とN町(中山間地)に調査を実施した。基本健診の受診時に、自記式でGeriatric Depression Scale(GDS)短縮版(15問)とうつ状態に関連している家族構成、ライフイベント、健康状態について調査を実施した。うつ状態の予防に意義があると思われるデイサービスや健康づくりの取組みの評価を参加者を対象に両地域で実施した。 基本健診会場での有効回答数は、T村が80人(男23・女57)、N町439人(男145・女294)である。1999年と2002年のデータを分析した。GDSが6点以上のうつ状態は、T村では、両年とも性別では、男性に比し女性がうつ状態の割合が高く、年齢別では男女を問わず65〜74歳より75歳以上にうつ状態が高率であった。男性では、いずれの年齢もうつ状態の割合が低下しているのに対し、女性では65〜74歳が40.0%から13.8%へと低下しているが、75歳以上では40.5%から42.9%へと増加を示した。年齢がより高齢になっていることや疾病、身体状況の悪化が考えられるが、対象者数が少ないことや横断調査の比較のために、詳細な背景は明らかにできなかった。 N町では、両年とも性別では、男性に比し女性がうつ状態の割合が高く、年齢別では男性は両年とも65〜74歳が75歳以上よりうつ状態が高率であった。女性は、1999年は男性と同一傾向であったが、2002年は、65〜74歳より75歳以上にうつ状態が高率であった。 N町の2002年のみ結果では、男女ともに独居の高齢者にうつ状態の割合が高率であった。健康状態では、男女とも元気と答えた人が、そうでない人に比しうつ状態の割合は低率であった。ライフイベントでは、うつ状態に影響を与えるような出来事があった人となかった人では、男性では差がないが女性では、あった人にうつ状態の割合が高率であった。 地域で開催されているミニデイサービスの参加者T村8人、N町28人にうつ状態の調査を実施した。75歳以上の参加者が大半で、うつ状態の割合も地域全体と同程度であるが、ミニデイサービスに繰り返し参加し、満足度も高く、閉じこもり予防につながっていた。今回の調査は、両地域の1カ所の調査のみで、地域を代表した結果とはなっていないが、今後のうつ状態、自殺予防のための地域づくりに有効と思われた。
|