2003 Fiscal Year Annual Research Report
単離心筋細胞と非心筋細胞とのcocultureを用いた覚醒剤の心毒性に関する研究
Project/Area Number |
13670432
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
前野 善孝 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 一郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30315907)
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Keywords | 覚醒剤 / 心毒性 / 内皮細胞 / MAPkinase / coculture |
Research Abstract |
これまでに覚醒剤(MA)は、単離心筋細胞(ARC)に直接作用して培養することによって生ずるARCの肥大現象を促進することを報告してきた。更に覚醒剤中毒死症例に見られる心病変のメカニズムを解明するため、単離心臓血管内皮細胞(HVEC)にMAを曝露し、その培養液を2週間培養したARCに作用させ、その形態変化等を観察した。その結果、MA存在下で長期間培養したHVECの培養液を作用させたARCは、細胞内のMAPkinaseのリン酸化を促進しながら形態の変化を示し、特に0.5mM MA曝露群で細胞は萎縮傾向を示した。その際、0.5mMの濃度で曝露されたHVECは細胞質内に空胞様形成及び顆粒状構造の出現が見られ、微小管のnetworkがコントロールに比べより明確となり、核近傍に密度の濃いcentrosome様構造が顕著となっていた。これらの結果は、MAが直接HVECに変化を与え、その培養液中にARCの細胞内シグナル伝達系をup-regulateする因子を分泌する可能性が示唆された。次に、このHVECの形態変化は、MA特有のものか否かを調べるため、MA類似物質であるpara-methoxyamphetamine(PMA)及び4-methylthioamphetamine(4-MTA)を同様にHVECに曝露した。PMAはMAの曝露とほぼ同様の形態変化を示したが、4-MTAは曝露後2日目より変化が見られ、4日目では核周囲での顆粒様構造物の出現や微小管network構造が顕著となると共に、細胞形態の萎縮が著明となった。これらの変化は、4-MTAのものを除きreversibleな変化であった。これらの変化を惹起する因子は未だ解明されていないが、以上の結果は、不法乱用薬物であるMA, PMA,4-MTAは心臓血管内皮細胞に形態変化を与え、特にその影響は4.MTAで著明であり、HVECからの何らかの分泌物質によりARCの細胞内シグナル伝達を高め、その形態に変化を与えることが示唆された。
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