2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラット頭部Whiplash shakingモデルにおける脳脊髄損傷に関する研究
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13670436
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
向井 敏二 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (20200230)
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Keywords | shaken baby syndrome / 脳損傷 / 脊髄損傷 / 児童虐待 / 動物モデル |
Research Abstract |
1.頭部震盪モデル作製 棒状セルロイドの先端に装着した金属製装具にラットを軽麻酔下にて固定した。頭部への加速度が10Gとなるよう加速度計でモニターしつつ、毎分300回、10分間の震盪を3日間連続で行った。6日齢ラットでは震盪直後に強いチアノーゼが認められたが、3・4週齢ラットでは震盪終了後の無呼吸や失調性呼吸が強く、約2割程度が死亡した。これらの結果は、頭部震盪が何等かの機序を介して呼吸障害を発来する可能性を示唆した。 2.頭部震盪による血中酸素濃度および脳内酸素濃度・血流量の変化 1)血中酸素濃度:右大腿静脈に採血用チューブを挿入後、上記の通り頭部を震盪し、震盪前後のPaO_2、PaCO_2、HCO_3、O_2Sat、pHを同時測定した。麻酔深度の影響等により一定傾向は得られなかったが、震盪直後には概ね一過性の高度低酸素血症とアシドーシスの所見が得られた。 2)脳内酸素濃度および脳内血流量:震盪直後に脳内にプローブを挿入し、震盪直後からの酸素濃度と相対的血流量を測定したところ、酸素濃度については震盪群が対照群より数mmHg低値を30分以上継続し、相対的血流量にも低下傾向が認められた。 3.頭部震盪による体重・脳重の変化 震盪後の体重増加および震盪3週間後の脳重を比較したところ、体重増加は震盪群が対照群より有意に悪く、また脳重についても有意に低値(対照群1.47g:震盪群1.35g)を示した。 4.病理組織学的変化 今年度再検討の結果、くも膜下腔の一部に陳旧性出血の所見は認められた、大脳皮質・白質、脳幹部、上位頚髄いずれの実質内にも出血、梗塞等の損傷は認めらなかった。また、免疫組織学的手法(ABC法)を用いてGFAP、βAPPの発現状況を検討したが、reactive astrocyteの出現、軸索の異常腫脹や断裂、神経細胞障害等の異常所見は認められなかった。
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Research Products
(1 results)