2001 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型及び非分泌型ヒト組織でのABO式血液型Htypel-4糖鎖抗原の分布
Project/Area Number |
13670438
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤谷 登 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10156888)
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Keywords | ABO / H抗原 / フコシルトランスフェラーゼ / 分泌型 / 抗H抗体 |
Research Abstract |
人の肺,腎におけるH type 1,H type 2,H type 3/4の組織内分布を免疫組織化学的に調べた.その結果分泌型の気管支腺の粘液細胞はH type 1抗体に強く染色され,気管支粘膜表面の尖端はH type1,Htype 3/4抗体に強く染色された.非分泌型ではいずれも染色されなかった.これらはFUT2により産生されるSe酵素に調節されていると考えられた.気管支上皮の基底細胞は分泌型非分泌型にかかわらずH type 2抗体で染色されたことから,おそらくFUT1により産生されるH酵素に調節されていると考えられた.遠位曲尿細管は分泌型,非分泌型ともH type 2,H type 3/4抗体で染色され,H酵素により調節されていると考えられた.集合管では主に分泌型がH type 1抗体で染色され,非分泌型ではあまり染色されなかった.またH type 3/4抗体では分泌型のみが染色された.従って集合管でのH type 1,Htype 3/4の発現はSe酵素により調節されていると考えられた.ヒト癌細胞株,MCAS(卵巣癌),WiDr(結腸上皮腺癌),HeLa(子宮頸部扁平上皮癌),PC-3(前立腺癌),Hep-2(喉頭扁平上皮癌),COS-1細胞(サバナモンキー腎臓)からAGPC法を用いてRNAを単離し,ジゴキシゲニン標識FUT1あるいはFUT2RNAプローブを用いてノザンプロット解析を行った.その結果,FUT2の単一バンドはMCASとWiDr細胞に検出され,その他の細胞株では検出されなかった.FUT1の単一バンドはMCAS, WiDr, HeLa, PC-3,Hep-2細胞に検出され,COS-1細胞にはいずれも検出されなかった.従ってMCASおよびWiDr細胞ではFUT1, FUT2の両遺伝子により調節されており,HeLa, PC-3,Hep-2細胞はFUT1のみに調節されていると考えられた.
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