2002 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型及び非分泌型ヒト組織でのABO式血液型H type 1〜4糖鎖抗原の分布
Project/Area Number |
13670438
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤谷 登 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10156888)
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Keywords | 扁平上皮癌 / 上皮腺癌 / 細胞株 / FUT1 / FUT2 / mRNA |
Research Abstract |
扁平上皮癌由来細胞株(HeLa及びHEp-2)と上皮腺癌由来細胞株(MCAS、WiDr及びPC-3)を対象に、α1,2フコース転移酵素遺伝子(FUT1、FUT2)mRNAの遺伝子解析をおこない、各細胞株でのFUT発現を明らかにした。その結果、上皮腺癌由来細胞においてはFUT1、FUT2の両方、扁平上皮癌由来細胞においてはFuT1 mRNAのみが発現する傾向が見られ、PC-3でのFUT2非発現は悪性変異による発現量の減少を示していると考えられた。更に、HeLaにおけるFUT1 mRNAの発現強度はその他の細胞と比較して明らかに強く、これはFUT mRNAの異常発現の程度が特に強いためであると考えられた。今回の結果におけるFUT1 mRNAの発現量と、過去に報告されている癌組織でのフコース転移酵素の発現の性状には相関性がみられ、癌での発現異常がmRNAの異常発現に起因していることが示唆された。また、横行結腸から直腸までの上皮腺癌由来細胞株(CCK-81、CoCM-1、WiDr、SW837)を対象に同解析をおこなった。FUT1 mRNAの解析により、横行結腸から直腸にかけてFUT発現量が増加する「発現量グラジエント」の存在が示唆された。また、FUT2 mRNAの解析においては、上皮腺ガン由来細胞の全てにおいてFUT2発現が認められた。これらの結果は、これまでに報告されているα1,2フコース転移酵素の発現、あるいは各FUT1 mRNA発現に関する研究結果とほぼ一致する。また、我々は結腸ガン組織にH type 3/4抗原が発現することを初めて明らかにしたが、今回のFUT1 mRNA発現に関する結果と、癌組織におけるH type 3/4の発現量変化の性状には相関性が見られた。このことから、結腸上皮腺ガンでのH type 3/4の異常発現がmRNAのレベルでFUT1に調節されている可能性が示唆された。
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