2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規アポトーシスシグナル伝達経路を介する自己免疫病発症機序の解析
Project/Area Number |
13670453
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岸 裕幸 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (60186210)
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Keywords | T細胞抗原受容体 / 胸腺細胞 / ミトコンドリア / Bax / p38MAPキナーゼ |
Research Abstract |
自己免疫疾患発症の一機序として胸腺における自己反応性T細胞クローン(胸腺細胞)のアポトーシス誘導の不全が考えられる。従って、胸腺細胞にアポトーシスを誘導するシグナル伝達経路を解析することは自己免疫疾患発症機序の解明につながる。我々は胸腺細胞にアポトーシスを誘導するシグナル伝達経路を明らかにする目的で、in vitroにおいてTCRに対する抗体を用いて胸腺細胞を刺激し、胸腺細胞にアポトーシスを誘導した。次にアポトーシスが誘導された胸腺細胞内においてどのような分子が活性化されているかを解析した。この解析により、TCRからのシグナルが伝達されることにより、(1)刺激前に細胞質内に存在していたBaxがミトコンドリア膜へ移行すること、(2)ミトコンドリアの膜電位が低下することによりチトクロームCが放出されること、(3)それに伴いカスパーゼが活性化され胸腺細胞のアポトーシスが誘導されること、を示した。TCRを介した胸腺細胞のアポトーシス誘導・Baxのミトコンドリア膜への移行・チトクロームCの放出・カスパーゼの活性化はp38MAPキナーゼの阻害剤であるSB203580により特異的に阻害された。これらの結果はp38MAPキナーゼがTCRを介したアポトーシス誘導に関与していることを示している。さらにこれらの反応は蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシミドにより阻害されることから、p38MAPキナーゼの下流に位置する転写因子の活性化を介したタンパク質合成が、細胞質内Bax分子のミトコンドリア膜への移行およびそれに引き続くアポトーシス誘導に重要な役割を果たしていると考えられる。これらの結果はEur J Immunol 31:2702, 2001に発表した。今後、p38MAPキナーゼの下流に位置する転写因子を明らかにし、その転写因子により活性化される遺伝子および遺伝子産物を同定し、アポトーシス誘導機序を明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)