2001 Fiscal Year Annual Research Report
トレランス関連分子に対するIgA型抗体産生乳酸菌の作製と炎症性腸疾患治療法の開発
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13670498
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
金井 隆典 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40245478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木田 秀雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30182306)
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 腸内細菌 / 腫瘍壊死因子 / 自然免疫 / OX40 / costimulatory molecule / 乳酸菌 / マウス実験腸炎モデル |
Research Abstract |
ヒト炎症性腸疾患、すなわち潰瘍性大腸炎およびクローン病は若年者を襲い、生涯にわたり治療の継続を余儀なくされる難病である。本邦においては、近年、増加の一途をたどり、罹患数、潰瘍性、大腸炎7万人、クローン病2万人と社会問題とされている。両疾患とも、免疫学的因子、環境因子、遺伝因子など様々な病態が考えられているが、常在する腸内細菌が病態発症・形成に重要な役割を担っていることは明らかである。しかし、その詳細な分子メカニズムは未だに不明な点が多い。今回の基盤研究C2のプロジェクトにおいて、以下のことを明らかとした。 1)マウス慢性大腸炎モデルにおけるcostimulatory molecule関連分子の検討 新規のcostimulatory molecule関連分子群であるICOS/B7RP-1、PD-1/PD-L1, PD-L2分子群はマウスクローン病モデルであるCD45Rbhighトランスファー大腸炎モデルにおいて、強く誘導され、病態に関与することを示唆した。特に、我々が開発した抗マウスICOS抗体は本大腸炎を予防系、治療系いずれにおいても抑制することを明らかとした。 2)マウス慢性大腸炎モデルにおけるTNF/TNFR関連分子の検討 マウスクローン病モデルであるCD45Rbhighトランスファー大腸炎モデルにおいて抗TNF抗体の予防系における効果のみならず、今回、新しく、類縁分子OX40Lに対する抗体治療が抗TNF抗体に匹敵する成績と抗TNF抗体と抗OX40L抗体による強力なsynergy効果を明らかとし、今後、抗TNF抗体以外のクローン病治療の可能性を示唆した。 C)抗マウスTNF抗体遺伝子組み込み乳酸菌の作製 我々の作製した抗マウスTNF抗体遺伝子組み込み乳酸菌(lactoccous-atnfig-#0165)はlight chainとheavy chain産生は認めたものの、生理的な免疫グロブリン形成までには至らなかった。さらなる改良を試みるとともに、臨床応用を視野に入れ、抗ヒトTNF抗体遺伝子組み込みの作製を開始した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Inoue N, Kanai T, et al.: "Restricted VH gene in lamina propria B cells producing anticolon antibody from parients with ulcerative colitis"Gastroenterology. 121. 15-23 (2001)
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[Publications] Kanai T, Watanabe M, et al.: "IL-18 and Crohn's disease"Digestion. 63. 37-42 (2001)
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[Publications] Kanai T, Watanabe M, et al.: "Macrophage-derived IL-18 mediated intestinal inflammation in the murine model of Crohn's disease"Gastroenterology. 121. 875-888 (2001)
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[Publications] Miyasaka Y, Watanabe M: "Analysis of differentially expressed genes in human hepatocellular carcinoma using suppression subtractive hybridization"Br J Cancer. 96. 228-234 (2001)
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[Publications] Nagayama K, Watanabe M.: "Overexpression of interferon gamma-inducible protein 10 in the liver of patients with type 1 autoimmune hepatitis identified by suppression subtractive hybridization"Am J Gastroenterol. 96. 2211-2217 (2001)
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[Publications] 金井隆典, 渡辺 守: "粘膜免疫の特殊性を応用した炎症性腸疾患に対する新しい治療法"医学のあゆみ. 199. 115-118 (2001)