2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝発癌における細胞周期制御癌抑制遺伝子プロモーター領域のメチル化の意義
Project/Area Number |
13670539
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10305229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 文生 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90223180)
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40332910)
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Keywords | 肝癌 / 発癌 / 細胞周期制御遺伝子 / メチル化 |
Research Abstract |
研究方法:過去10年間に診断された肝細胞癌症例のうち,肝細胞癌発症前の慢性肝炎の時点で生検組織が得られている20例の肝組織(以下発癌例)を対象として用いた.比較群として同時期に生検が施行され,現在の時点で,臨床上肝細胞癌の発生を認めていないウイルス性慢性肝炎(以下非発癌例)132例,原発性胆汁性肝硬変16例,自己免疫性肝炎8例,薬剤性肝障害15例,脂肪肝14例を用いた.免疫組織染色法で,p16蛋白の発現を検討した.なお,鏡顕にて500細胞中に含まれる陰性細胞の比率をp16陰性率(negative index ; NI)と定義し,これを算出した. 研究結果:p16NIは,発癌例において,非発癌例や非ウイルス性肝障害例に比べて,有意に高値を示した(p<0.0001).ウイルス性慢性肝炎例(発癌例および非発癌例)のみを対象とし,p16NIが10以上,10未満で2群に分けた場合,p16NI 10以上群は60ヶ月で50%以上の発癌を生じていることが明らかになった.また,多変量解析を用いて,肝発癌に影響を及ぼす因子を検討したが,年齢(p=0.0036),性別(p=0.0345),組織学的線維化(p=0.0207)とともにp16NI(p=0.0010)が有意な危険因子としてあげられた. 考察:慢性肝炎の時点におけるp16蛋白の発現低下が,有意に発癌の危険因子として寄与することが明らかとなった.このことから,p16蛋白の発現低下は慢性肝炎患者の発癌予測マーカーとして有用と考えられ,慢性肝炎患者に対する肝発癌に関する囲い込みに有益であり,さらに,このような症例に対して,発癌抑制を考えた抗ウイルス剤を用いた治療などがさらに重点的になされるべきと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 佐々木 茂: "癌遺伝子産物に対する抗体を用いた悪性腫瘍の治療"臨床免疫. 35・3. 371-376 (2001)
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[Publications] 小関 至: "急速に胆管および門脈内進展を来した混合型肝癌の1例"肝臓. 42・2. 91-97 (2001)
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[Publications] Fukushima, H.: "Association of matrilysin mRNA expression with K-ras mutations and progression in pancreatic ductal adenocarcinomas"Carcinogenesis. 22・7. 1049-1052 (2001)
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[Publications] Yamamoto, H.: "Genetic and clinical features of human pancreatic ductal adenocarcinomas with widespread microsatellite instability"Cancer Res.. 61・7. 3139-3144 (2001)
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[Publications] Kaneto, H.: "Detection of hypermethylation of the p16 (INK4A) gene promoter in chronic hepatitis and cirrhosis associated with hepatitis B or C virus"Gut. 48・3. 372-377 (2001)
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[Publications] Yoshida, Y.: "Jejunal carcinoid tumor mimicking leiomyosarcoma : preoperative diagnosis by endoscopic biopsy"J. Gastroenterol.. 36・1. 39-43 (2001)
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[Publications] 佐々木 茂: "実践 がん化学療法 胆道がんの化学療法"篠原出版新社. 5 (2001)