2002 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の局所リンパ球における分化増殖の異常と病態に特異的な免疫応答の解析
Project/Area Number |
13670545
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 志郎 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50271185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 誉之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10209637)
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Keywords | クローン病 / 潰瘍性大腸炎 / 腸間膜リンパ節 / Ki67 |
Research Abstract |
既に我々はクローン病(CrD)と潰瘍性大腸炎(UC)の手術標本を対象として、増殖細胞マーカーであるKi67とリンパ球の表面マーカー(T細胞関連としてCD3,CD4,CD8、B細胞関連としてCD19,CD20,CD138)の免疫二重染色法により、各病変粘膜局所において増殖するリンパ球を解析した。 そして、CrD肉芽腫では腸間膜リンパ節のT細胞領域と同程度のCD4陽性T細胞の増殖反応が惹起されており、CrD肉芽腫がリンパ装置に匹敵する免疫反応の場となっていることを証明した。また、UCでは潰瘍底においてリンパ濾胞の形成を伴わないCD19陽性・CD20陰性・CD138陽性の幼弱な形質細胞様細胞の顕著な増殖反応が確認されたが、CrDでは病変粘膜に多数のリンパ濾胞の形成は認めるもこのような表面形質のB細胞の顕著な増殖は認められなかった。本年度はこれら病変局所で認められた増殖リンパ球に関する病態が、その所属リンパ節である腸間膜リンパ節にいかなる影響をあたえているか同様の方法を用いてCrDとUCを比較しながら検討した。結果としてUCの腸間膜リンパ節では、特に臨床的活動性の強い症例において、胚中心未発達、CD3陽性T細胞域が未刺激状態のまま、CD19^+,CD20^-,CD138^+の幼若な形質細胞様の細胞が髄質を中心にびまん性に多数浸潤し、Ki67標識率も高かった。CrDの腸間膜リンパ節では胚中心形成数の増加、T細胞域の拡大が認められ、UCで認めた形質細胞様細胞はほとんど確認されなかった。以上の結果から活動期UCでは、所属リンパ節に通常の刺激がおこらずに、特徴的な幼若形質細胞様細胞の浸潤・増殖が認められ、両疾患の病態の差が所属リンパ節の病態に反映されていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Oshitani N. et al.: "Heterogeneity of HPLC profiles of human class II MHC-bound peptides isolated from intestine with inflammatory bowel disease"Dig Dis Sci. Vol.47. 2088-2094 (2002)
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[Publications] Oshitani N. et al.: "Three cases of primary sclerosing cholangitis associated with ulcerative colitis; diagnostic usefulness of magnetic resonance cholangiopancreatography"Hepato Gastroenterol. 325-329 (2002)