2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞転移・浸潤能におけるRhoファミリー低分子量G蛋白質Racの役割
Project/Area Number |
13670557
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
東 俊文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00222612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 次郎 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50198470)
石井 裕正 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051500)
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Keywords | 癌 / 転移 / small G protein / Rho ファミリー蛋白質 |
Research Abstract |
細胞浸潤能の検討ではRac1の高発現細胞株では浸潤能は高い傾向が有意差をもって認められた。LPA刺激により浸潤が亢進する細胞株は活性Rac1が低値の細胞であるのに対し、浸潤能の低下する細胞株の活性型Rac1は高いことがわかった。癌浸潤、転移のメカニズムを考える際、まず癌細胞自身の運動性が重要な要因であることは多くの証左がある。近年細胞の運動能に強くかかわるRas super familyのRho, Rac Cdc42という蛋白質が注目されている。しかし、多くの報告があるにもかかかわらず、癌細胞とこれらの蛋白質の関係についての報告は限られておりいまだ不明な点が多い。我々は特にこれらの蛋白質の特性である、GTP結合活性化機構と癌細胞の運動能との相関に注目した。活性型のRac, Cdc42はPBD pull down assay法が開発され、定量的に測定することが可能となったのでこれを用いてRacおよびCdc42の活性型発現量との関係をしらげたところ、総Rac1発現量に差が認められないにもかかわらず、活性型Rac1の量がその細胞の浸潤能に非常に良く相関することが示された。しかしCdc42は特にこのような相関は認められなかった。さらに面白いことにRhoを活性化させることがわかっている、LPA刺激により細胞浸潤能が亢進する細胞株と活性型Rac1が低い細胞株が一致し、逆にLPA刺激により細胞浸潤能が低下する細胞株と活性型Rac1が高いい細胞株が一致した。.このことはRhoとRacにより細胞運動能を調節する機構が異なることが示唆され、細胞により運動能調節が異なることを示唆している。従って、これらを検討することにより細胞ごとの浸潤能制御機構に対応した、治療法の開発が有効な結果に結びつくことが示唆された
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