2001 Fiscal Year Annual Research Report
実験小腸潰瘍と炎症性腸疾患のマクロファージとマトリックスメタロプロテアーゼの役割
Project/Area Number |
13670574
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
古賀 秀樹 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00309551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 香代子 川崎医科大学, 医学部, 助手 (40319942)
平川 克哉 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40330592)
本多 啓介 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10190266)
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Keywords | 小腸潰瘍 / マクロファージ / 炎症性サイトカイン / TNFα / IL-1β / IL-6 / ジクロロメチレン・ジホスホネート / インドメタシン |
Research Abstract |
【背景と目的】我々は、ラットにインドメタシン(Indo)を注腸するとCrohn病に類似する小腸縦走潰瘍(LUSI)が形成されることを発見し報告してきたが、腸内細菌叢、特にBacteroides属由来のリポ多糖が重要な働きをしていることを見いだした。リポ多糖の標的細胞がマクロファージ(Mφ)であることを考慮し、この実験では,ラットLUSIモデルにおけるMφ-炎症性サイトカイン(CKN)系の役割を明確にすることを目的とした。【方法ならびに結果】すべての実験系で雄性Wistarラット(150〜250g)に対しIndo24mg/kgを注腸し24時間後のLUSIを評価した。Indo注腸3時間前に抗TNF-α抗体を2、20、200μg/kg腹腔内投与するとLUSIはそれぞれ29、35、42%抑制された。また、抗IL-1β抗体25、100、500μg/kg投与でも用量依存性にLUSIを抑え最大抑制率60%、抗IL-6抗体1、5、50、250μI/kg投与でも同様で最大抑制率65%であった。これらの抗CKN抗体を併用投与するとLUSIはさらに低下し、抗体3種類を全て投与すると86%の抑制率となった。また、Mφ障害物質であるジクロロメチレン・ジホスホネートを含有するリポゾーム(CI_2MDP-Iipo)を作成し、腹腔内にCI_2MDP換算で50、200、400mg/kgを投与すると、3日後にはラット小腸内Mφ数(免疫染色にてED2陽性細胞数を計測した)はそれぞれ62、24、13%に減少した。そこで、CI_2MDP400mg/kg投与ラットにIndoを投与しLUSIを評価すると、LUSIは78%抑制され、抗CKN抗体3種類併用投与時に匹敵するLUSI抑制率が得られた。【結論】実験的LUSIの発生には、Mφとそれに由来するCKN系が大きく働いている。
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[Publications] 垂水研一, 古賀秀樹, 松本啓志, 他: "実験的小腸縦走潰瘍発生におけるマクロファージの重要性-マクロファージ除去ラット作製と抗サイトカイン中和抗体投与での検討-"日本消化器病学会雑誌. 98(Supple). A140 (2001)
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[Publications] 古賀秀樹, 垂水研一, 飯田三雄: "実験的小腸縦走潰瘍発生過程におけるリポ多糖・マクロファージ系の重要性:macrophage-depleted ratを用いた検討"日本消化器病学会雑誌. 98(Supple). A395 (2001)