2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼ阻害剤を用いた肝線維症/肝硬変・肝再生不全の改善
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13670579
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小嶋 聡一 理化学研究所, 分子細胞生物学研究室, 先任研究員 (10202061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 正隆 岐阜大学, 医学部・第一内科, 助教授 (10204140)
鈴木 康弘 理化学研究所, 分子細胞生物学研究室, 基礎科学特別研究員 (60332277)
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Keywords | 肝線維症 / 肝硬変 / 肝再生不全 / TGF-β活性化 / プラスミン / 血漿カリクレイン / プロテアーゼ阻害剤 / 肝星細胞 |
Research Abstract |
・プロテアーゼ阻害剤による肝線維化/肝硬変・肝再生不全の改善:TGF-β活性化反応を抑制することがわかったプロテアーゼ阻害剤FOY305がブタ血清投与ラット肝線維化モデルに加えて、四塩化炭素投与によるラット肝線維化/肝硬変モデルやリポ多糖前投与によるマウス部分肝切除後の肝再生不全モデルにおいて病態を改善しうることを見い出した。特に、後者はFOY305が血漿カリクレイン依存TGF-β活性化反応を阻害し、肝再生を抑制するTGF-βの産生を抑えることによることを確かめた。セリンプロテアーゼによるTGF-β活性化を介する病態形成が改善される可能惟が示唆された。 ・新規肝線維化・肝硬変抑制物質のスクリーニング:FOY305をポジティブコントロールとして、in vitroラット肝星細胞活性化モデル、並びにin vivoブタ血清モデルを用いて新規の肝線維化・肝硬変抑制物質のスクリーニングを行った。その結果、免疫細胞(Th2細胞)からのサイトカインIL4、IL10産生を特異的に抑制する物質サイトキサゾンにFOY305が併せ持つ細胞増殖抑制活性を軽減させる働きがあることを見い出した。 ・TNF-αによる血漿カリクレイン依存TGF-β活性化反応誘導の分子機構:培養ラット肝星細胞を用いてTNF-α処理で肝星細胞表面PLK活性が亢進する分子機構を解析した結果、TNF-α処理によって血漿カリクレインの細胞表面結合タンパク質の1つであるウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子受容体(uPAR)の遺伝子発現が高まり、肝星細胞表面への血漿カリクレインの結合が亢進し、細胞表面においてTGF-βの活性化反応を誘起することがわかった。 ・ヒト肝線維化・肝硬変、肝再生不全でも動物モデルで見られたプロテアーゼによるTGF-β活性化が起こっているか否かを調べるために、プロテアーゼによって断片化された潜在型TGF-βを特異的に検出するプロテアーゼ断片化TGF-β抗体の作製を試みた。プラスミンは潜在型TGF-βの56Lys-57Leuの間を、血漿カリクレインは58Arg-59Leuの間を特異的に切断し似たような構造変化を引き起こしてTGF-βを活性化させることがわかった。57Leuと59Leuの各々の切断面を認識する抗体の作製に成功した。現在、特異的抗体を精製中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Adachi, S. et al.: "Phosphorylation of retinoid X receptor suppresses its ubiquitin in human hepatocellular carcinoma."Hepatology. 35(2). 332-340 (2002)
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[Publications] Okuno, M. et al.: "Retinoids in Liver Fibrosis and Cancer."Frontiers in Bioscience. 7. D204-D218 (2002)
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[Publications] Akita, K.et al.: "Impaired liver regeneration in mice by lipopolysaccharide via TNF-α/kallikrein-mediated activation of latent TGF-β."Gastroenterology. 123(1). 352-364 (2002)
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[Publications] Botella, L. et al.: "Synergistic transcriptional activation of endoglin and TGF-β signaling components by Sp1 and KLF6, and their potential role in the response to arterial injury."Blood. 100(12). 4001-4010 (2002)
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[Publications] Obora, A. et al.: "Synergistic induction of apoptosis by acyclic retinoid and interferon-β in human hepatocellular carcinoma cells."Hepatology. 36(5). 1115-1124 (2002)
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[Publications] 奥野正隆 他: "ヒト肝細胞がんにおけるリン酸化レチノイドXレセプターの機能と代謝の異常"ビタミン. 76(10). 469-471 (2002)
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[Publications] Okuno, M et al.: "Retinoids in liver fibrosis - induction of proteolytic activation of transforming growth factor-β by retinoic acid and its therapeutic control by protease inhibitors. In Extracellular Matrix and the Liver-approach to gene therapy."Academic Press(in press). (2003)