2002 Fiscal Year Annual Research Report
転移能と関連するセレクチンリガンド合成酵素の癌細胞特異転写調節の研究
Project/Area Number |
13670582
|
Research Institution | Aichi Cancer Center |
Principal Investigator |
平岩 望 愛知県がんセンター, 分子病態学部, 主任研究員 (70175553)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター, 分子病態学部, 部長 (80161389)
|
Keywords | セレクチンリガンド / fucosyltransferase VII / Tax蛋白 / CRE / T-box / One-hybrid / CREB / ATF / T-bet |
Research Abstract |
セレクチンリガンド合成糖転移酵素(Fuc-T VII)は、特定の白血球細胞表面のシアリルLewis X構造を合成する機能を持ち、その糖鎖合成物が血管内皮細胞表面のセレクチン分子との相互作用を持つことにより炎症時における血管外遊出の際の重要な役割を演じていることが、多くの研究室から報告されている。また、この相互作用はヒト成人T細胞白血病を含むある種の白血病細胞、癌細胞の組織浸潤にも関与していることが認められている。 我々はFuc-T VII遺伝子がウィルスHTLV-1 Tax蛋白により活性化され、その酵素産物であるセレクチンリガンドを介して白血病細胞の皮膚を初めとする臓器浸潤に関与していることを証明してきた。さらに、そのTax responsive element (TaxRE)がLTR 21-bpと相似の構造を持ち、LTR 21-bpとの機能的相同性を発表してきた。その研究からTaxREにはCREB/ATF転写因子が結合するCRE領域の他に結合する他の因子が存在している可能性が導かれ、新規の結合因子のクローニングをone-hybrid法にて行った。 その結果、T-box型の転写因子T-betをクローニングし、この因子がこのTaxREの機能特異性に重要な役割を果たしていることを認めた。またこの因子はTaxRE内の5'oligonucleotide配列に結合し、かつin vivoでもTax蛋白との相互反応を示した。このT-bet転写因子は、CD4+リンパ球のTh1リンパ球への分化に決定的な働きをする遺伝子の一つであることが、最近他の研究室で報告され始めている。だが、具体的なDNA結合性の検討などほとんど為されておらず、我々の研究が初めて結合配列及び他の蛋白との相互作用を証明したものとなる。また、T-bet自体の転写調節についても、今回、Tax蛋白はFuc-T VII遺伝子の転写活性を誘導するだけでなく、T-bet遺伝子の転写発現を生じさせることを認めた。このFuc-T VIIとの転写レベルでの協調性は正常ヒト組織での転写発現部位の検討からも認められた。セレクチンリガンドが白血病、リンパ腫の組織浸潤や転移に強く関連していることが明らかになっている事から、生物学的解析も病態機能の理解に重要であるばかりでなく、それらを抑える臨床への応用の可能性につながると考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Hiraiwa, N. et al.: "Tansactivation of the fucosyltransferase VII gene by human T-cell leukemia virus type 1 tax through a variant cAMP-responsive"Blood. (in print).
-
[Publications] Tei, K., et al.: "Roles of cell adhesion molecules in tumor angiogenesis induced by cotransplantation of cancer and endothelial cells to nude rats"Cancer Res.. 62. 6289-6296 (2002)
-
[Publications] Schakel, K., et al.: "6-Sulfo LacNAc, a novel carbohydrate modification of PSGL-1, defines an inflammatory type of human dendritic cells"Immunity. 17. 289-301 (2002)
-
[Publications] Uchimura, K. et al.: "Specificities of N-acetylglucosamine-6-O-sulfotransferases in relation to L-selectin ligand-synthesis and tumor-associated enzyme"J. Biol. Chem.. 277. 3976-3984 (2002)
-
[Publications] Kannnagi, R., et al.: "Regulatory roles of carbohydrate ligands for selectins in the homing of lymphocytes"Curr. Opin. Struct. Biol.. 12. 599-608 (2002)
-
[Publications] Ikeda, N., et al.: "A remodeling system of the 3'-sulfo-Lewis a and 3'-sulfo-Lewis x epitopes"J. Biol. Chem.. 276. 38588-38594 (2001)