2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者インフルエンザ感染による肺微小血栓塞栓症の病態及び治療に関する研究
Project/Area Number |
13670586
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大類 孝 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90271923)
|
Keywords | インフルエンザ / 高齢者 / 呼吸不全 / 微小血栓塞栓症 / D-ダイマー / 酸化ストレス / 抗凝固療法 / 呼気中一酸化炭素濃度 |
Research Abstract |
2001年から2002年のインフルエンザ流行期に、38度以上の発熱、全身倦怠感と共に、急激な低酸素血症を来たし入院した18名の高齢者(年齢69歳から91歳、平均78.6歳)を対象に、鼻汁および咽頭ぬぐい液からのインフルエンザウイルス抗原(A型およびB型)の検索、採血および胸部レ線、胸部CTスキャン、肺換気、血流シンチグラフイーおよび生体の酸化ストレスの指標として呼気中一酸化炭素(CQ)濃度を測定し、疾患とその予後の予測および治療が可能か否かについて検討した。 その結果、18名中11名(男性7名、女性4名)においてA型インフルエンザの確定診断がなされ、そのうち5例において凝固系の指標の血中D-ダイマーが415-550ng・ml^<-1>と上昇しており、そのいずれにおいても重篤な低酸素血症(動脈血酸素飽和度:SpO2で81-86%)が認められた。呼気中CO濃度も5-8ppmと5症例で著明に上昇していた(正常値0-1ppm)。しかし、5症例とも胸部レ線、およびCTスキャン上わずかな索状影を除いて肺野に明らかな浸潤影は認めなかった。そのうち4症例の肺血流シンチグラムでは、中枢側の肺血管の欠損像は認めなかったが、いずれにおいても、抹消側の血流障害が認められ肺微小血管の血栓症が示唆された。4症例のうち同意の得られた3症例に対して、ヘパリンおよびウロナーゼを用いて抗凝固療法が施行され、いずれにおいても5日目よりD-ダイマーの改善およびSpO2の改善が認められ救命されたが、同意が得られず抗凝固療法の施行されなかった1例は救命できなかった。 以上より、インフルエンザの重症化には、生体内の酸化ストレスの増加に伴い肺微小血管の血栓塞栓症が関与しており、その治療に比較的早期からの抗凝固療法の開始が有効である可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yasuda H: "Increased blood carboxyhaemoglobin concentrations in inflammatory pulmonary diseases"Thorax. 57. 779-783 (2002)
-
[Publications] Matsui T: "Sitting position to prevent aspiration in bed-ridden patients"Gerontology. 48. 194-195 (2002)
-
[Publications] Yoneyama T: "Oral care reduces pneumonia of elderly patients in nursing homes"J Am Geriatr Soc. 50. 430-433 (2002)
-
[Publications] Ohrui T: "Relationship between asthma severity and progression of Alzheimer's disease"Thorax. 57. 561 (2002)
-
[Publications] Yamaya M: "Prevention of respiratory infections in the elderly (Review)"Geriatr Gerontol Internat. 2. 115-121 (2002)
-
[Publications] Wang HD: "Bilirubin ameliorates bleomycin-induced pulmonary fibrosis in rats"Am J Respir Grit Care Med. 165. 406-411 (2002)