2002 Fiscal Year Annual Research Report
深在性真菌症における生体因子による真菌病原性の変化
Project/Area Number |
13670606
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Research Institution | OITA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永井 寛之 大分医科大学, 医学部, 助手 (80237487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 勝 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039874)
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Keywords | 深在性真菌症 / Trichosporon asahii / PCR法 / gluculonoxylomannan抗原 / (1→3)β-D glucan / 環境分離株 / 臨床分離株 |
Research Abstract |
(1)Trichosporon ashahii (T. ashahii)は深在性真菌症の主な起炎菌であるが、深在性真菌症臨床分離株のglucurono-xylomannan抗原(GXM抗原)は、環境分離株のそれよりも高値である。Candida albicansやCryptococcus neoformansは生体を通過させることで、その表現型を変化させることが報告されている.T. ashahiiに関しては生体通過による表現型の変化の報告はなかった。我々は環境分離株と臨床分離株及び臨床分離株を生体を複数回感染させたマウスに感染させ回収した生体通過株のそれぞれの間の表現型の変化及びGXM抗原、(1→3)-β-D-glucan値について検討した。その結果,環境分離株の形態はrugose,細胞は菌糸型で増殖するのに対して、臨床分離株の形態はpowderry,細胞は分生子型で増殖し、培養上清中のGXM抗原は臨床分離株は環境分離株よりも高値であった。生体通過株の表現型は、元の環境分離株から著明に変化しており、GXM抗原は元株よりも有意に上昇し、形態も臨床分離株に近い形態の変化が認められた。(1→3)-β-D-glucan値については生体通過株と元株との間に著変はなかった。 (2)環境分離株と臨床分離株、生体通過株の3つの株のin vivoにおける病原性の発現を検討した。これらの中でマウスの致死率が最も高かったのは環境分離株であった。生体通過株のGXM抗原の発現の亢進は,宿主の多核白血球や単球の貧食を逃れる真菌の自己防衛反応であり,生体における持続感染を成立させるためのものであり,生体に対する病原性には直接関与しないことが示唆された。
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