2001 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスによる特発性間質性肺炎の成因の解明
Project/Area Number |
13670617
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中野 純一 帝京大学, 医学部, 講師 (20240707)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 富志人 帝京大学, 医学部, 助手 (20328074)
山下 直美 帝京大学, 医学部, 助教授 (20239974)
大田 健 帝京大学, 医学部, 教授 (30160500)
|
Keywords | HCV / 肺線維症 / 間質性肺炎 / トランスジェニック / シリカ / PDGF / 肝炎 / ウイルス |
Research Abstract |
平成11〜12年度の研究によりHCVenvの強発現のみでwild typeよりわずかに肺の線維化傾向を示し,さらに線維化の促進物質であるシリカをHCVenvマウスに経気道的に投与すると無処置のwild typeやHCVenvマウスのみならずwild typeマウスにシリカを投与した場合と比較しても著明に線維化が惹起されることを発見した。平成13年ではHCVenvにおける肺の炎症・線維化について、長期にBALF、肺組織の病理とハイドロキシプロリン量を用いて検討した。前年度から引き続きの検討によりHCVenvでは病理学的に3ヶ月の時点で炎症細胞浸潤が増加し,その変化が6ヶ月の時点で線維化が経時的に増強することを認めた。さらにハイドロキシプロリン(mg/lung)では3ヶ月が580±58、6ヶ月で650±78でありwild typeの350+55および370+68と比較して線維化が経時的に亢進していることが明となった。またシリカを投与することでこの線維化の過程がさらに促進され,ハイドロキシプロリンはシリカ投与後4週でwild typeで650+48に対しHCVenvでは720+55と線維化が強く生じていた。さらに興味あることにHCVenvでは肝臓には線維化を生じないが,シリカ投与で3ヶ月の時点でwildと比較してHCVenvでは肝細胞に細胞浸潤を認め,シリカにより全身性に線維化の過程が促進されていることが示唆された。またmRNAレベルでは,PDGFがHCVenvではwildより発現が亢進し,シリカ投与によりさらにその発現が増強することも確認した。今後さらに蛋白レベルでのサイトカイン発現を確認する実験を進めている。また当初には予想していなかった肝臓など他臓器でも線維化が亢進している可能性が示唆されたので,その現象をとらえるとともにそのメカニズムについて追加検討する。
|