2002 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症患者の髄液オリゴクローナルバンドの標的抗原解析
Project/Area Number |
13670626
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 一男 東北大学, 医学部附属病院, 助教授 (70280873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 宏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20214207)
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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Keywords | 脱髄疾患 / 神経免疫学 / 神経難病 / 多発性硬化症 / オリゴクローナルバンド |
Research Abstract |
多発性硬化症(MS)、特に大脳脳幹を含めて中枢神経内に脱髄病巣が播種する通常型MSでは、髄液のオリゴクローナルIgGバンド(OB)は極めて特徴的な免疫学的所見であるが、OBの標的抗原は不明である。 そこでファージディスプレイ法によりOBのエビトーブ解析を行った。すなわち12-merのランダムペプチドを発現するファージライブラリーをCMS14例の髄液IgGと反応させ、IgGと結合するファージを抽出精製し、そのペプチドのアミノ酸配列を解析した。その結果、各症例で複数のphageに共通なアミノ酸配列がみられたが、その配列は症例毎に異なっており、現時点までのスーパーコンピューターによる解析でも症例間で共通な有意な配列は同定されていない。またOB陽性の1例において、異なる3病期の髄液を解析したところ、EBウイルスの異なる3種類の構成タンパクと相同な配列が一貫して検出された。 この症例において、EBウイルスのZEBRAタンパクと相同な配列はWestern blotでは血清より髄液IgGとより強い反応を示しOBとの関連が疑われた。そこでこのペプチド配列(TDPYQLPFDQSL)をもとにwild type、N末端、C末端、EBウイルスの4種のペプチドを3回反復するGST融合タンパクを合成し、髄液IgGと反応させたところ、wild type及びEBウイルスの配列と強く反応したが、N末端やC末端の配列との反応は弱かった。GST pull down assayではGST融合タンパクに反応した髄液IgGが免疫沈降産物中に検出された。この吸着後の髄液を2次元電気泳動で解析したところ、IgG light chainの一部のスポットが消失した。一方、この吸着後の髄液を等伝点電気泳動したが吸着前とOBのバンドパターンは不変であったことからOBの各バンドは複数の抗体から構成されていると考えられた。
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[Publications] Misu T: "Pure optic-spinal form of multiple sclerosis in Japan"Brain. 125. 2460-2468 (2002)
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[Publications] Nakashima I: "A comparative study of Japanese patients with and without oligoclonal IgG bands"Mult Scler. 8. 459-462 (2002)
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[Publications] Hayashi T: "Inflammatory demyelinating disease mimicking malignant glioma"J Nucl Med. (in press). (2002)
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[Publications] Matsumoto Y: "CDR3 spectratyping analysis of the T cell receptor repertoire in multiple sclerosis"J Immunol. (in press). (2002)
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[Publications] Miyazawa I: "Eugene Devic (1858-1930)"J Neurol. 249. 351-352 (2002)
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[Publications] Nakashima I: "The association between oligoconal IgG bands and corpus callosal lesions in Japanese multiple sclerosis patients"Neurology. 58(suppl3). A71-A71 (2002)
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[Publications] Misu T: "CCR7-positive antigen presenting cells and central memory T cells in CNS of multiple sclerosis"Neurology. 58(suppl3). A304-A304 (2002)
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[Publications] 糸山泰人: "多発性硬化症 病因・病態研究の進歩と新たな治療"脳と神経. 54. 5-21 (2002)
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[Publications] 藤原一男: "Neuromyelitis optica 原典とその今日的意義"神経内科. 56. 306-311 (2002)
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[Publications] 中島一郎: "多発性硬化症(特集 急性期神経疾患への一般内科的対応)"Mebio. 19. 27-33 (2002)
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[Publications] 藤原一男: "多発性硬化症の免疫学的治療の問題点と戦略"神経免疫学. 10. 221-226 (2002)
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[Publications] 糸山泰人: "多発性硬化症の治療"日内会誌. 91. 2339-2343 (2002)
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[Publications] 藤原一男: "視神経脊髄型MSと免疫病態"臨床神経学. (印刷中).
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[Publications] 藤原一男: "QOLを重視した多発性硬化症患者の治療"神経治療学. (印刷中).