2001 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんモデル動物における神経可塑性と神経幹細胞の役割
Project/Area Number |
13670647
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 圭子 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (20325103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20212540)
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Keywords | てんかん / 神経幹細胞 / キンドリング / 神経可塑性 / 海馬 |
Research Abstract |
てんかんモデルの扁桃核キンドリングで、神経幹細胞の増殖とmigrationをBrdUとPSA・NCAM免疫染色をマーカーとして検討した。細胞接着分子(NCAM)の糖鎖ポリシアル酸(PSA)は神経幹細胞のmigrationのマーカーとされるが、NCAMは接着因子であるため神経可塑性にも関与する。 BrdU陽性細胞は、部分発作(PS)群では海馬歯状回(dentate gyrus : DG)subgranular zoneに加えgranule cell layerでも認められたが、キンドリング発展におけるBrdU陽性細胞数には変化は認められなかった。一方、脳室下帯(subventricular zone : SVZ)のBrdU陽性細胞は、PS群では両側性に対照群の約2倍に増加したが、全般発作(GS)群では対照レベル以下に減少した。PSA・NCAM陽性細胞はDG granule cell layerの深層部に認められ、PS群では有意な変化はなかったが、GS群では両側性に対照群の約4倍に増加していた。発作全般化に伴い著明な樹状突起伸長が認められ、それらはPSA・NCAM陽性であった。SVZにおいても海馬同様にGS群で対照群の約4倍の陽性細胞増加がみられた。また、梨状葉でもGS群で陽性細胞の発現増加が認められた。 PSA・NCAM陽性で示される神経幹細胞のmigrationとシナプス再構築は、GS群でDG、SVZ、梨状葉に認められた。BrdU陽性細胞が変化しなかったことより、DGと梨状葉での変化は主としてシナプス再構築を示すものと思われた。一方、SVZでは神経幹細胞migrationとシナプス再構築が共に起こっていると考えられた。以上より、神経幹細胞の増殖とmigration、神経の可塑的変化は、脳部位・キンドリング段階により、空間的・時間的に異なる変化を示し、てんかん脳の神経ネットワーク形成に関与すると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Sato, M.Iwai, I.Nagano, M.Shoji, K.abe: "Expression of Highly Polysialylated Neural Cell Adhesion Molecule(PSA・NCAM) in Rat Subventricular Zone with Exposure to Repeated Kindled seizures"Neuroscience Letters. (in press). (2002)
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[Publications] K.Sato, M.Iwai, I.Nagano, M.Shoji, K.Abe: "Changes of Localization of Highly Polysialylated Neural Cell Adhesion Molecule(PSA・NCAM) in Rat Hippocampus with Exposure to Repeated Kindled Seizures"Brain Research. (in press). (2002)