2001 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症の発症機序におけるアレルギー反応の関与についての研究
Project/Area Number |
13670652
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村井 弘之 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80325464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 潤一 九州大学, 医学部・附属病院, 教授 (40183305)
菊池 仁志 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (60322765)
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / アレルギー / アポトーシス / Th1 / Th2バランス / 自己免疫疾患 / 細胞内サイトカイン / アレルギー性結膜炎 |
Research Abstract |
重症筋無力症(以下MG)は,その責任抗原・抗体は分子レベルで明らかになっているが,その発症メカニズムは不明のままである.MGの場合,過形成胸腺に出現するgerminal centerが自己抗体の産生と関わっている可能性がある.われわれは以前MGのgerminal centerでCD23が過剰発現していることを見いだし,これがアポトーシスを抑制していると考察した.CD23は,またアレルギー性疾患とも深く関連している. MG非胸腺腫群では対照群に比較してアレルギー疾患(特にアレルギー性結膜炎)の罹患頻度が有意に高率であることが判明した.一方,胸腺腫群ではその傾向は認められていない.むしろアレルギー性疾患の罹患頻度は対照群よりも低かった.また,アレルギー性疾患を有するMGの方が,臨床症状が軽度であることが観察された. MG患者の胸腺(或いは胸腺腫)摘出術前,術後で末梢血リンパ球を分離後,細胞を染色してフローサイトメトリーを行い,細胞内サイトカイン(IL4,IFNγ等)を測定した.その結果,胸腺摘出術後に臨床症状が改善することと,Th1/Th2バランスの変化が平行して起きることが確認された.すなわち,術前にはTh2優位の状態であったものが,術後にはその程度が軽減していた. アレルギー性疾患(含アトピー疾患)を背景とする神経疾患が注目を集めてきている.われわれは,非胸腺腫群では胸腺内のgerminal centerでリンパ球のアポトーシスが抑制されていることによりアレルギー反応が惹起され,それと同時に,自己抗体産生細胞が病的に生存してMGが発症するという仮説を考えており,今後これを検証していく予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 村井弘之, 越智博文, 小副川学, 吉良潤一: "アレルギー性疾患の有無からみた重症筋無力症の臨床像の比較検討"神経免疫学. 9. 76-77 (2001)
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[Publications] Kikuchi H, Osoegawa M, Ochi H, Mural H, Horiuchi I, Takahashi H, Yamabe K, Iwaki T, Mizutani T, Oda M, Kira J: "Spinal cord lesions of myelitis with hyperIgEemia and mite antigen specific IgE (atopic myelitis) manifest eosinophilic inflammation"J Neurol Sci. 183. 73-78 (2001)
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[Publications] 大八木保政, 村井弘之, 甲斐康稔, 小副川学, 堀内泉, 越智博文, 吉良潤一: "アトピー性皮膚炎と重症筋無力症"臨床神経学. 41. 207 (2001)
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[Publications] Ochi H, Wu X-M, Osoegawa M, Horiuchi I, Minohara M, Mural H, Ohyagi Y, Furuya H, Kira J: "Tc1/Tc2 and Th1/Th2 balance in Asian and Western types of multiple sclerosis, HTLV-I-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis and hyperIgEaemic myelitis"J Neuroimmunol. 119. 297-305 (2001)
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[Publications] Uchiyama A, Shimizu S, Murai H, Kuroki S, Okido M, Tanaka M: "Infrasternal mediastinoscopic thymectomy in myasthenia gravis : Surgical results in 23 patients"Ann Thorac Surg. 72. 1902-1905 (2001)
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[Publications] Horiuchi I, Ochi H, Murai H, Osoegawa M, Minohara M, Furuya H, Kira J: "Th2 shift in mononeuritis multiplex and increase of Th2 cells in chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy : an intracellular cytokine analysis"J Neurol Sci. 193. 49-52 (2001)