2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670666
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柴田 護 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60286466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 京子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90317107)
佐々木 貴浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60306694)
濱田 潤一 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70180940)
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Keywords | 多系統萎縮症 / αB crystallin / 皮質基底核変性症 |
Research Abstract |
本年は多系統萎縮症の剖検例がなかったが、皮質基底核変性症の剖検例があり、これについて詳細な検討を加えた。ヘマトキシリン・エオジン染色では、大脳皮質に多数のballooned neuronを認め、かつ細胞消失が明らかであった。また、Gallayas染色では多数のneurofibrillary tangleとastrocytic plaqueやcoiled bodyなどのグリア細胞内封入体を認めた。Ballooned neuronについてsmall heat shock proteinであるαB crystallinで免疫染色を行ったところ、すべての細胞の細胞質に陽性であった。しかし、正常細胞には明らかな染色性を認めなかった。このことは、ballooned cellの発生機構にαB crystallinが関与していることを示唆しているものと考えられた。次に、αB crystallinの病的状態における役割を検討することを目的として、マウス一過性局所脳虚血・再灌流モデルにおいて、Western blot法と免疫染色の両者を行った。αB crystallinは通常の状態では脳梁のオリゴデンドロサイトにしか明らかな染色性を認めなかったが、虚血再灌流後には虚血側線条体と大脳皮質の神経細胞に染色性を認めた。Western blotでも正常状態ではごくわずかな発現しか確認できなかったが、再灌流6-48時間において蛋白質レベルでの発現上昇が確認された。同時に、Hsp70とHsp40のWestern blotでも同時期に発現上昇を認めた。このことは虚血再灌流の病態においてαB crystallinが重要なmolecular chaperoneとして働いていることを示唆するものと考えられた。
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