2002 Fiscal Year Annual Research Report
虚血脳損傷過程におけるトロンビンのApoptosis誘導作用のメカニズムの解明
Project/Area Number |
13670672
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
神谷 達司 日本医科大学, 医学部, 講師 (70233955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 泰朗 日本医科大学, 医学部, 教授 (70152692)
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Keywords | トロンビン / 局所脳虚血 / ラット / アポトーシス / 脳保護 |
Research Abstract |
ラット一過性局所脳虚血モデルを用い以下の実験を行った。雄性Sprague-Dawley Rat(体重200-250g)を用い、1.5%ハロセン麻酔下にシリコンを先端に付着した4-0外科用ナイロン糸を左総頚動脈から内頚動脈を経て中大脳動脈起始部まで挿入することによって脳虚血を導入し、虚血負荷を均一化するため虚血中の直腸温および頭蓋温度は37.0±0.5℃に維持した。実験動物は、I:Vehicle群(対照群、n=6)、II:Hypothermia(35℃)群(n=6)、III:アルガトロバン群(n=6)、IV:アルガトロバン+Hypothermia(35℃)群(n=6)の4群に分類した。IおよびIII群は常温群で、体温コントロールは虚血開始時より導入し、虚血中脳温および直腸温を37℃に保った。アルガトロバン群は脳虚血作成直後に0.3mg/h/ratを腹腔内に埋め込んだ浸透圧ポンプより持続投与を行い、対照群には同時期に同量のVehicleを投与した。IIおよびIV群は低体温群で、虚血中脳温および直腸温を35℃に維持し、虚血作成直後にHypothermia(35℃)群(II群)ではvehicle、アルガトロバン+Hypothermia(35℃)群(IV群)ではアルガトロバンを各々投与した。2時間の脳虚血後、ナイロン糸を抜去し再開通を行った。再開通24時間後経心臓的に4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定し、アポトーシス関連遺伝子であるBcl-2およびBaxの蛋白発現をVelierらの方法(Velier JJ, J Neurosci 19 : 5932-5941, 1999)に準じBcl-2およびBaxに対する特異的抗体を用いた免疫組織化学法にてそれぞれの蛋白発現の局在を検討した。またDNA断片化を示した虚血周辺部(penumbra)の神経細胞数をTUNEL法で免疫染色を行った(Gavrieli, J Cell Biol 119 : 493-501, 1992)。アルガトロバンに低体温(35℃)を併用する群(IV群)では、対照群(I群)に比しペナンブラ領域でBaxの発現が減少し、bcl-2の発現が増加していた。また、TUNEL法によるDNA断片化の検討でもアルガトロバンに低体温(35℃)を併用する群(IV群)では、対照群(I群)に比しペナンブラ領域でTUNEL陽性細胞が減少していた。
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