2001 Fiscal Year Annual Research Report
タイラーウイルスL^*蛋白遺伝子導入マウスを用いた脱髄発症機序の解析
Project/Area Number |
13670673
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
朝倉 邦彦 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (50333159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小渕 正次 金沢医科大学, 医学部, 助手 (70257450)
大原 義朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50203914)
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Keywords | 多発性硬化症 / タイラーウイルス / 脱髄 / L^*蛋白 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
タイラーウイルス持続感染による脱髄は,ヒトの脱髄疾患である多発性硬化症の実験モデルとして用いられているが,その持続感染や脱髄の詳細な機構は解明されていない。本研究では持続感染や脱髄を引き起こすDA株を代表とする慢性亜群でのみ特異的に産生されるL^*蛋白の遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製し,L^*蛋白の脱髄発症機序の解明を目的とした。本年度はまず,MHC classIプロモーターにL^*蛋白cDNAを組み込んだコンストラクトを作製しFVB/NJマウスへの導入を試みたが,プロモーター活性が弱くL^*蛋白の発現量が非常に弱かった。このためプロモーターを強力なβアクチンプロモーターに変更し,さらにL^*蛋白の上流にKozak配列を挿入し,下流にはFLAGエピトープを挿入したコンストラクトを作製した。このコンストラクトのin vitroでの非常に強いL^*蛋白の発現を確認し,現在マウスへの導入を行っている。またin vitroにおけるL^*蛋白の性状を調べたところ,精製ウイルス粒子を用いた解析結果からは,L^*蛋白はウイルス粒子内には取り込まれず,tubulinなどの微小管とN末端側で結合していることが明らかとなった。また主な持続感染の場であると考えられるマクロファージ/ミクログリア系の細胞を用いて検討した結果,L^*蛋白はマクロファージ/ミクログリア系細胞におけるウイルス増殖に重要な蛋白であり,L^*蛋白を産生しない変異株DAL^*-1はこれらの細胞では増殖できないことが明らかとなった。さらに各種サイトカインやその受容体のmRNA発現をRT-PCR法により検討した結果,脱髄をきたすDA株感染ミクログリア系細胞は脱髄をきたさないDAL^*-1感染ミクログリア系細胞に比べて炎症性サイトカインmRNAの発現が高く,この差異が免疫性脱髄の発症に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Obuchi M: "Association of L^* protein of Theiler's murine encephalomyelitis virus with microtubules in infected cells"Virology. 289・1. 95-102 (2001)
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[Publications] Bieber AJ: "Human antibodies accelerate the rate of remyelination following lysolecithin-induced demyelination in mice"Glia. 37・3. 241-249 (2002)
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[Publications] 朝倉 邦彦(分担): "21世紀の神経免疫学・展望"医歯薬出版. 207 (2001)