2001 Fiscal Year Annual Research Report
葬型シトルリン血症責任遺伝子産物citrinの局在ならびにその遺伝子異常と病態
Project/Area Number |
13670680
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山田 達夫 福岡大学, 医学部, 教授 (60159217)
|
Keywords | Citrin / アストロサイト / 免疫組織 |
Research Abstract |
肝臓特異的argininosuccinate synthetase(ASS)蛋白の低下に基づく成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)ではASS遺伝子の異常は認められず、これまで原因不明であった。しかしながら最近鹿児島大学生化学佐伯教授らによってCTLN2の責任遺伝子としてSLC25A13が同定され、Ca-dependent mitochondrial solute carrierと考えられる遺伝子産物がcitrinと命名された。本研究の目的は中枢神経系でのcitrinの機能を明らかにするために、(1)ヒトcitrinの組織分布をヒト脳、肝、膵臓などを用いて免疫組織学的に検討し、(2)この遺伝子の発現状況も合わせて解析する。さらに変異遺伝子保有者が高頻度に認められ、痴呆症、てんかんや精神病などと診断されている症例の中にもCTLN2が存在する可能性が指摘されていることから、(3)多くの神経疾患、肝性脳症患者を対象に変異頻度を解析し、それら疾患との関連(即ち変異がそれぞれの疾患発症の危険因子になるか否かなど)を検討することにある。 今年度は抗citrin抗体を用いた免疫組織学的研究とin situ hybridization histochemistryに専念した。鹿児島大学生化学教室佐伯教授よりヒト抗citrin抗体(多クローン抗体)の供与を得て、ヒト脳を含む全身臓器についてABC法にて検討した。肝では肝細胞、膵臓では腺房細胞、脳ではアストロサイトにこの蛋白が局在ならびに発現することを証明した。特にアストロサイトで発現している点は肝性脳症との関連で興味深い。パーキンソン病、進行性核上麻痺、レビー小体型痴呆などの症例に対して遺伝子変異の有無を検討したが、未だ一定の結論を得るにいたっていない。
|