2001 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんにおける中枢神経興奮系・抑制系リモデリングの解析
Project/Area Number |
13670681
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
由比 友顕 産業医科大学, 医学部, 助手 (60330982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 晋 産業医科大学, 医学部, 講師 (00279324)
笛田 由紀子 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (10132482)
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Keywords | Elマウス / GABA受容体 / アフリカツメガエル卵母細胞 / 遺伝子発現 / messengerRNA |
Research Abstract |
1.目的:てんかんは、中枢神経系の興奮性シナプス伝達と抑制性シナプス伝達のバランスの変化(リモデリング)が原因と考えられるが、リモデリングと関連した神経細胞機能蛋白の変動は明らかではない。今年度研究では、我々はてんかんモデルであるE1マウスを用いて、リモデリングに伴う抑制系機能蛋白であるGABA受容体の変化を解析した。 2.方法:(1)E1マウスおよび正常型としてddYマウス(15週齢)を用いて、大脳皮質よりmessengerRNA(mRNA)を調製した。(2)mRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞1個あたり50ngを注入し、3-4日後細胞膜上に発現した機能蛋白の電気生理学的特性を二電極膜電位固定法により解析を行なった。膜電位を-70mVに固定した状態で、kainate50μM刺激にてAMPA受容体を介した電流を、またGABA3mM刺激にてGABA受容体を介する電流を測定した。(3)GABA_A受容体α_1subunitのmRNA発現量を、northern blotting法により定量した。 3.結果:(1)ddYマウス由来のmRNAを発現した卵母細胞では、GABA刺激(189±42nA)、kainate刺激(184±15nA)ともに同レベルのリガンド誘発電流が見られた。一方、Elマウスでは、kainate刺激での誘発電流は239±12nAとddYと同レベルだが、GABA刺激では64±9nAとkainate刺激の約30%と著しい減少がみられた。(2)大脳皮質のGABA_A受容体α_1subunitのmRNA発現量は、ElマウスがddYマウスの75%に減少していた。 4.考察:平成13年度の研究により、Elマウスでは大脳皮質においてGABA受容体の転写レベルでの発現抑制ならびに機能低下がみられることが明らかとなった。平成14年度は、てんかん履歴に伴って、GABA受容体がいかに変動するのかを解明したい。
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