2002 Fiscal Year Annual Research Report
α-シヌクレイン沈着の分子機構解明:新規結合蛋白の神経変性症への関与の検討
Project/Area Number |
13670682
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
荒木 亘 国立精神・神経センター, 疾病研究第6部, 室長 (60311429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 慶吉 国立精神・神経センター, 疾病研究第6部, 室長 (40117148)
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Keywords | α-シヌクレイン / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
我々は酵母two-hybrid systemを用いてα-シヌクレイン(α-Syn)と結合するタンパクをスクリーニングし、α-Synと相互作用する新規タンパクを同定し、αSNBPと命名した。本年度は培養細胞中のαSNBPとα-Synの相互作用に関する解析及びαSNBPのα-Syn沈着を伴う神経変性疾患の病態への関与の検討を行った。 C末部にV5タグを付加したαSNBPとα-Synを安定的に発現するヒト神経芽細胞腫細胞を作製した。この細胞の細胞質画分を用いてV5抗体による共役免疫沈降を行ったところ、α-SynがαSNBPと共沈されることが判明した。逆にα-Syn抗体によりαSNBPがα-Synと共沈した。この結果から、細胞内で両タンパクが結合していることが示された。また、αSNBPは細胞質、膜画分の両方に存在し、核画分にも少量存在していたが、α-Synは細胞質のみに存在した。さらに、V5抗体、α-Syn抗体による2重免疫蛍光染色を行った。その結果、両タンパクが共存していることを示唆するデータが得られた。 次にαSNBPのN末側ペプチドに対する特異抗体を用いて、ヒト剖検脳組織を免疫染色し、その分布やレビー小体などの異常構造物との関連を調べた。染色強度にバラツキはあるが、神経細胞の細胞体が陽性に染色されることが判明した。しかし、レビー小体に陽性所見は得られなかった。この点について結論を出すためには異なる抗体を用いる検討が必要と考えられる。 以上新規α-Syn結合タンパクとしてαSNBPを同定した。αSNBPのα-Syn沈着への関連についてはまだ結論が得られていないが、αSNBPが神経細胞に存在することから、α-Synと何らかの機能的関連を持つことが示唆され、興味深い。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 荒木 亘, 武田和也, 田平 武, 上田健二, 秋山治彦: "α-シヌクレインに結合する新規タンパクの同定"Dementia Japan. 16・2. 107 (2002)