2001 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の虚血・再灌流障害に対する可溶性Fas遺伝子治療の試み-最近開発されたガットレスADVベクターを用いた検討-
Project/Area Number |
13670699
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
湊口 信也 岐阜大学, 医学部, 助教授 (20190697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 久義 岐阜大学, 医学部, 教授 (80115930)
小戝 健一郎 岐阜大学, 医学部, 助教授 (90258418)
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Keywords | 遺伝子治療 / 心筋梗塞 / 心室リモデリング / 心不全 / Fas / Fasリガンド・システム |
Research Abstract |
マウス可溶性Fas抗原遺伝子を組み込んだアデノウィルスベクターを作製した(Ad.CAG-sFas)。マウス(C57BL/6ストレイン)にて左冠動脈永久結紮による心筋梗塞モデルを作製し、梗塞3日目に両側大腿筋にAd.CAG-sFasをマウス1匹あたり1x10^9pfu筋肉注射した。コントロールには、1x10^9pfuのAd.CAG-LacZを筋注した梗塞マウスを用いた。Ad.CAF-sFas筋注後7日目(梗塞10日目)の採血で血漿中のsFasは31.3±15.4μg/mlと著明に増加していることが確認された(コントロールは0μg/ml)。梗塞4週後の心エコー検査で、コントロール群に比しsFas投与群では左室内腔の縮小化がみとめられ(左室拡張末期径7.3±0.6vs5.4mm、左室収縮末期径3.7±0.8vs1.3±0.5mm)、左室の収縮機能改善がみられた(%fractional shortening50±9vs71±7%)。ミラーカテーテルによる血行動態評価でも、うっ血の改善(左室拡張末期圧9.3±2.8vs8.4±1.3mmHg)、左室収縮能(+dP/dt2489±369vs3206±787mmHg/sec)ならびに左室拡張能(-dP/dt1799±212vs2347±528mmHg/sec)の改善がみられた。心重量・体重比はsFas遺伝子治療群で有意に小さかった(6.5±1.4vs5.2±0.7mg/g)。すなわち、心筋梗塞4週後において、sFas遺伝子治療群ではコントロールに比し梗塞後の左室リモデリング、心機能の悪化が軽減されることが明らかになった。梗塞4週後の組織学的検討で、コントロール群では左室内腔が著明に拡大していたがsFas群ではその狭小化がみとめられ、コントロール群の梗塞区域が著明にひ薄化しているのに比べてsFas群では梗塞巣の壁が厚かった。また、sFas群の梗塞巣では筋線維芽細胞や血管内皮細胞などの非心筋細胞がコントロールに比し多数みとめられた。今後は動物の例数を増やすとともに、sFas遺伝子治療群における梗塞後心室リモデリングならびに心不全軽減のメカニズムについて検討を加える予定である。
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