2001 Fiscal Year Annual Research Report
カルレティキュリンは心筋細胞の発生分化増殖を制御する
Project/Area Number |
13670726
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
戸田 源二 長崎大学, 医学部, 講師 (00253659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 捷介 長崎大学, 医学部, 教授 (50039864)
近藤 宇史 長崎大学, 医学部, 教授 (00158908)
井原 義人 長崎大学, 医学部, 講師 (70263241)
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Keywords | カルレティキュリン / 心筋細胞 / アポトーシス / 分子シャペロン |
Research Abstract |
「目的」分子シャペロン・カルレティキュリン(CRT)は、粗面小胞体に局在し、分泌あるいは膜タンパク質の品質管理やシグナル伝達、転写調節などの多彩な機能があると考えられている。一方、CRTが、心臓の発生分化に必須であることがノックアウトマウスの解析から報告された。本研究は心筋細胞の分化に及ぼすCRTの分子作用機構を明らかにすることを研究目的とした。「方法」心筋細胞発生分化モデルとして知られる心筋芽細胞・H9c2に、マウスのCRT遺伝子(sense/antisense)発現ベクターを導入し、CRT高/低発現心筋芽細胞株を樹立した。これらの細胞株を用いて、レチノイン酸処理による分化誘導条件での細胞内シグナル伝達機序を解析した。「結果」分化誘導72時間後には、コントロール細胞では分化誘導により増殖が停止して細胞が融合膨化した。一方、CRT高発現細胞株では分化誘導により細胞数が減少した。形態学的には浮遊し球状化した細胞が多く見られた。その原因としてPropidiun iodideを用いた細胞周期解析でsubG1分画の増加を認め、Tunel assayでtunel陽性細胞の増加、さらにカスパーゼ3活性の増加などから、CRT高発現心筋芽細胞株ではコントロールよりも強くアポトーシスの関与が示唆された。そこでアポトーシス関連タンパクであるBc1-2,Baxのタンパク発現量をしらべたが、その挙動には差異がなかった。一方、分化誘導24時間後でのAktの活性はコントロールに比してCRT高発現細胞株でより減弱することを見い出した。「結論」CRT高発現株ではAktシグナルを介したアボトーシスに対する感受性が増強することが示唆された。 今後CRTがAkt活性に関与する機構についてのさらなる検討が必要である。
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