2001 Fiscal Year Annual Research Report
冠危険因子としての女性ホルモン・ホルモン受容体系異常
Project/Area Number |
13670754
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
梶波 康二 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (40262563)
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Keywords | エストロゲン受容体 / 遺伝子 / エストロゲン / 冠危険因子 |
Research Abstract |
女性ホルモンは冠動脈硬化症に防御的に働いていると想定されるが,その作用メカニズムの詳細は不明である.そこで,女性ホルモン-ホルモン受容体系における異常が新たな冠危険因子であるとの仮説を検証する目的で,冠動脈造影の施行と研究の趣旨に同意の得られた臨床症例を対象とし,エストロゲン受容体遺伝子異常の検討,ならびに末梢血女性ホルモン値の測定を行った. 遺伝子解析においては,エストロゲン受容体α遺伝子上の遺伝子多型(PvuIIとXbaI)を検討し,これから決定されるハプロタイプのうち,特定のものが男性の早発性冠動脈硬化症発症と有意な連鎖を示すことを見出した(平成13年9月第49回日本心臓病学会学術集会発表).また,発症年齢におよぼす影響を,古典的冠危険因子との相互関係として検討するため多変量解析を行ったところ,エストロゲン受容体α遺伝子の特定のハプロタイプ,糖尿病の合併,HDLコレステロール値が独立した予測因子であった(第66回日本循環器学会学術集会発表予定). これと併行して,同じ対象例において末梢血女性ホルモンレベルを高感度測定法により検討した.その結果,器質的冠狭窄による安定労作狭心症患者に比べて,急性冠症候群患者では末梢血エストラジオール濃度が有意に低いことを見出した(学会発表予定). 女性ホルモン-ホルモン受容体系の異常が,日本人男性の新たな冠危険因子である可能性が示唆された.
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