2002 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアのカリウムチャネルとラット培養心筋及び血液灌流心での心筋保護の関連
Project/Area Number |
13670756
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
朝山 純 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60079796)
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Keywords | 培養心筋 / カリウムチャネル / 再灌流障害 / 再酸素化障害 / 心筋ストレッチ / ACE阻害薬 |
Research Abstract |
ACE阻害薬の心筋保護効果がミトコンドリアのカリウムチャネルを介するかを検討した。新生児ラツト心筋培養細胞の低酸素(5時間)/再酸素化(2時間)障害をACE阻害薬(temocapril)は濃度依存性に抑制した。Pinacidilとdiazoxideは低酸素/再酸素化心筋障害を軽度改善した。Glibenclamideと5-hydroxy-decanoic acidは、temocaprilの心筋保護効果を阻害しなかった。ACE阻害薬の低酸素/再酸素化心筋障害にたいする心筋保護効果には、以前に報告したように、bradykininの心筋細胞内蓄積と、それによるNO産生、更にはcGNP合成が心筋エネルギー状態(ATP)を温存することが重要であり、カリウムチャネルを介する経路は大きく関与していないと考えられた。 心筋ストレツチによる心筋保護効果にミトコンドリアのカリウムチャネルが関与するとの報告がある、灌流液を用いる摘出灌流心は簡便であるが、非生理的な実験条件である。今回、生理的な血液灌流心を用いて、心筋ストレッチによる心筋保護効果が灌流液を用いる摘出灌流心での結果と同一であるか、先ず、基礎的検討を行った。ストレッチは左室内に留置したバルーン内の圧を(10mmHgより30〜60mmHgに)増加させて発生させた。虚血前のストレッチにより、両モデルとも虚血後の心機能の改善を認めた。血液灌流心は、supporting ratの血行動態、呼吸管理がきわめて困難で、成功率が低く、熟練を要する実験モデルである。ストレッチの強度及び持続時間と心筋保護効果の関係が血液灌流心と灌流液灌流心とで差異を認めた。今後、更なる基礎的検討と熟練が必要と考えられた。
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