2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児突然死症候群(SIDS)発症におけるセロトニントランスポーター遺伝子の関与
Project/Area Number |
13670782
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
成田 正明 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80302404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 奈緒子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40306189)
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Keywords | SIDS / セロトニン / トランスポーター / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
研究代表者らが2001年にPediatric誌に発表した乳幼児突然死症候群(SIDS)におけるセロトニントランスポーター(5HTT)遺伝子多型結果は、SIDSの新しい危険因子を見出したもの、SIDSを未然に防ぎうるものとしてその後も、小児救急医学会での会長要望演題、学会誌への会長依頼論文、専門誌からの依頼原稿、マスコミからの取材などを引き受けたほか、突然死裁判での鑑定依頼、国内・国際学会からのシンポジウム講演依頼など、社会からの反響はますます大きくなるばかりである。2003年にはAmerican Journal Medical Genetics誌により大きな母集団を用いた追試実験の報告がなされ、そこで研究代表者らのデータが確かめられた。さらに本研究はSIDS研究のみならず、その発症にセロトニンが関与しているとされる他の疾患即ち慢性疲労症候群、神経性無食欲症などにも発展し、遺伝子解析でいずれも正常と比べ疾患群で有意な相関を認め学会、研究会などで報告、学術論文として投稿中である。一方5HTT以外のセロトニン関連遺伝子多型解析も同時に進めているが、これまでのところ有意な相関は認められていない。これは転写活性領域に存在する5HTT多型が、いわゆる"機能性"多型であることと関係があると思われる。そこで5HTT多型がアリルによってどのように転写活性機能が調べる必要がある。国内外の報告では活性調節における差に関するデータは議論が多い。これと平行して、セロトニン関連疾患の病因病態に関しては遺伝子からのアプローチだけでなく、神経栄養因子蛋白(脳由来神経栄養因子BDNF)の発現量測定で診断ができる可能性を見出した。また同じくセロトニン関連疾患とされる自閉症についても自閉症モデルラットを作成し論文発表した。以上述べてきた成果に基づき研究代表者は科学技術振興事業団「脳科学と教育」の班員にも任命されており、今後もSIDS原因究明・発症予防に向けて研究を続けていきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Narita N, Kato M, Tazoe M, Miyazaki K, Narita M, Okado N: "Increased monoamine concentration in the brain and the blood of fetal thalidomide and valproic acid exposed rat ; putative animal models for autism"Pediatric Research. 52(4). 576-579 (2002)
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[Publications] Okado-N, Narita-M, Narita.-N: "Serotonin malfunction hypothesis by finding clear mutual relationships between several risk factors and symptoms associated with sudden infant death syndrome"Medical Hypothesis. 58(3). 232-236 (2002)
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[Publications] 成田正明, 岡戸信男: "セロトニン神経の発達とシナプス形成"クリニカルニューロサイエンス. 21巻6号. 622-625 (2003)
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[Publications] 成田奈緒子: "乳幼児突然死症候群とセロトニン"クリニカルニューロサイエンス. 21巻6号. 698-700 (2003)
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[Publications] 成田正明: "SIDSの新しい危険因子についての検討"日本小児救急医学会雑誌. 1巻2号. 13-15 (2003)