2001 Fiscal Year Annual Research Report
幼若感作マウスにおける気道リモデリングの進展寄与因子の解明と薬物による制御の検討
Project/Area Number |
13670784
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
徳山 研一 群馬大学, 医学部, 講師 (30237078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 浩一 群馬大学, 医学部, 助手 (50272232)
望月 博之 群馬大学, 医学部, 講師 (50270856)
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Keywords | アウトグロー / アレルギー性気道炎症 / 気道過敏性 / マウス / 卵白アルブミン / 幼若マウス / 好酸球 / 粘液分泌細胞 |
Research Abstract |
【目的】小児喘息の自然寛解現象(アウトグロー)のメカニズムは不明であるが、小児ではアレルギー性気道炎症の進展が最終的に治癒に向かいやすいためかもしれない。我々は、異なる成熟段階のマウスのアレルギー性気道炎症の進展の差異を検討するため、慢性アレルギーモデルマウスを作成する予定である。今年度は卵白アルブミン(OA)にて感作した異なる週齢のマウスの急性の気道炎症像を比較した。【方法】幼若(日齢3)および成熟(8週齢)BALB/Cマウスに、少量(10μg)または大量(1000μg)のOAを週1回ごと計3回腹腔内投与して感作し、2.5%OA溶液を6日間連日吸入チャレンジした。最終チャレンジ2日後にメサコリン(MCh)を吸入させ、enhanced pause(penh)を測定し気道過敏性を評価した。その指標として、penhが前値の200%を越えたMCh濃度を気道感受性とし、MCh最終濃度におけるpenhの絶対値を気道反応性とした。過敏性測定後、血中OA特異IgE、IgG2抗体価、気管支肺胞洗浄液(BALF)中好酸球数、気道組織像(炎症細胞浸潤の程度、粘液分泌細胞増加の程度をスコア化)を検討した。【結果】OA特異IgE抗体価の上昇は成熟マウス少量投与群>幼若マウス少量投与群≒成熟マウス大量投与群≫幼若マウス大量投与群の順であった。IgG2抗体価は成熟マウス大量投与群でのみ上昇を認めた。BALF中好酸球数の増加は成熟マウス少量投与群≒幼若マウス少量投与群>成熟マウス大量投与群の順であり、幼若マウス大量投与群では有意であったが極めて軽微な増加であった。気道過敏性は4群とも亢進し、気道感受性の亢進は成熟マウス少量投与群>幼若マウス少量投与群≒成熟マウス大量投与群>幼若マウス大量投与群の順であったが気道反応性の亢進は成熟マウスでは少量投与群>大量投与群なのに対して幼若マウスでは少量投与群と大量投与群は同等であった。炎症細胞浸潤の程度は成熟マウス少量投与群>成熟マウス大量投与群>幼若マウス少量投与群>幼若マウス大量投与群の順であったが、粘液分泌細胞数は4群とも同等に増加していた。【結論】血中IgE抗体価やBALF中好酸球数の増加の程度と気道過敏性の発現状態あるいは粘液分泌細胞増加の程度とは幼若マウスと成熟マウス間で異なった関係がみられ、アレルギー性気道炎症の進展は個体の成熟段階に影響を受ける可能性を示唆するものと思われた。
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